2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳損傷でのProtease-Activated Receptorの役割の解明
Project/Area Number |
14571346
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
片岡 和夫 近畿大学, 医学部, 助教授 (10221178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
種子田 護 近畿大学, 医学部, 教授 (10236713)
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Keywords | 脳損傷 / プロテアーゼ / 受容体 / 細胞反応 / 脳浮腫 |
Research Abstract |
脳損傷時,proteaseが細胞外腔に存在するとproteolysisを生じ脳損傷の拡大を生じたり,二次的脳損傷に発展する可能性がある.一方,正常の状態ではproteaseは広範囲な生理機能を担っている.こうした生理的機能には細胞外腔でのproteolysisのほか受容体を介した細胞反応も重要な機能を担っていることが明らかとなってきた.この受容体にはPAR(Protease Activated Receptor)のtype 1-4までが明らかとなっている.脳損傷病態下でのPARを介する細胞反応の役割はまったく明らかとなっていない.脳損傷時には脳浮腫が病態を悪化させる.最近では腎臓に存在するaquaporin(water channel protein)も脳に存在することが明らかになり,脳浮腫,脳損傷との関連が注目されている. マウス由来のmicroglia細胞・astroglia細胞を分離しそれぞれの培養系を確立する.これらの培養細胞にcytokine刺激(TNFα,INFγ,IL-1β),chemokine(LPS)刺激を行い培養液中のprotease(thrombin, prothrombin, trypsinなど)についてZymography, immunoblottingにて検討した.また培養細胞よりRNAを抽出しさまざまなprotease, PAR-1,-2,-3,-4のmRNA発現について高感度定量的PCR装置を用いたquantitative RT PCR法にて検討した.脳浮腫と関連するaquaporin-4についても検討した.Astroglia細胞培養で浸透圧変化として低浸透圧,高浸透圧を,またvasogenic edemaに関与しうるVascular-Endothelial-Growth-Factor(VEGF),脳浮腫の治療に用いられるβ-methasoneの4種類の刺激を行い,quantitative RT PCR法にて検討した. Microglia培養細胞ではPARの発現はとぼしく,cytokine刺激にてもPARの発現上昇をほとんど認められなかった.Astroglia細胞培養,グリア系腫瘍細胞群ではPARを発現し,cytokine刺激にてもPARの発現上昇を認める可能性が明らかとなった. Astroglia細胞培養でもaquaporin-4は恒常的に発現されていた.低浸透圧負荷を行うと約5倍のmRNAが発現され,高浸透圧の負荷を行うと,恒常的に発現している量の約6割程度に減少した.またVEGF,β-methasone共に刺激を行うと約3割程度に発現が押さえられた.
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Research Products
(1 results)