2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳損傷でのProtease-Activated Receptorの役割の解明
Project/Area Number |
14571346
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
片岡 和夫 近畿大学, 医学部, 助教授 (10221178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
種子田 護 近畿大学, 医学部, 教授 (10236713)
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Keywords | プロテアーゼ / トロンビン / 脳浮腫 / アクアポリン / 脳損傷 |
Research Abstract |
脳損傷時,脳浮腫が発生し脳損傷病態を悪化させる.脳損傷部位では細胞が崩壊し損傷組織での浸透圧上昇が生じている.水は浸透圧勾配により,浸透圧が高い脳損傷部位に移動し,脳浮腫が発生する.プロテアーゼであるトロンビンは血液中に存在し,外傷により容易に損傷部位に出現する.これまでの研究によりトロンビン受容体であるPAR(Protease Activated Receptor)-2は血管透過性を増加させ浮腫病態を生じたり,浮腫の悪化に関与している可能性がある.しかし,マウス脳損傷モデル,および脳腫瘍細胞培養モデルにてPAR-2のmRNA発現を定量的RT-PCR法にて検討したが,有意な結果を得る事ができなかった.従来から,注目してきた水チャンネル蛋白アクアポリンについてマウス脳損傷モデルおよびマウスグリア細胞培養モデルにてアクアポリンmRNAの発現について検討を行った.脳ではアクアポリンの中でもアクアポリン4が最も発現していた.脳損傷モデルでは脳浮腫の発生とほぼ同時期にアクアポリン4の発現上昇を認めた.また,マウスグリア細胞培養モデルを用いた実験では高浸透圧負荷がアクアポリン4の発現上昇を促し,低体温負荷はその発現上昇を抑制する事が明かとなった.水は水チャンネル・アクアポリンを通過して移動する.外傷により損傷部位が高浸透圧となるとアクアポリン4の発現上昇が生じ,増加した水チャンネル・アクアポリン4を経由してより損傷部位に水移動すなわち,浮腫の増悪が生じる事が明かとなった.低体温はこの病態を抑制する可能性があると考えられる.
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Research Products
(2 results)