2003 Fiscal Year Annual Research Report
チャンネル形成人工蛋白質SGPによる脳腫瘍治療の新戦略のための基礎研究
Project/Area Number |
14571348
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩朝 光利 福岡大学, 医学部, 助手 (40341416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
継 仁 福岡大学, 医学部, 講師 (80279273)
李 相男 福岡大学, 理学部, 助手 (40248472)
福島 武雄 福岡大学, 医学部, 教授 (10078735)
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Keywords | SGP / U87-MG / cytotoxic / apoptosis / necrosis / pore-forming / lipid bilayer |
Research Abstract |
共同研究者である福岡大学理学部李相男が開発した人工球状タンパク質(SGP)はアミノ酸69残基から成り、生体の脂質膜に作用してチャンネル特性を示す。我々はこのペプチドを一連の実験系に使用した。SGPは濃度依存性に高濃度でネクローシス、低濃度でアポトーシスを誘導し、細胞障害性を示すことがEllerby HMらによって示されている。今回の実験系においてin vivoでは、SGP 0.5mMまたは1mMの濃度で50μlまたは100μlの投与量を3回/週の頻度でヒト神経膠芽腫細胞U87-MGのヌードマウス皮下腫瘍モデルに対し直接腫瘍内投与し、生食対照群およびシスプラチン4mg/kg投与群と比較検討した。またin vitroでは、培養したU87-MG細胞を低濃度のSGP 0.5μMから10μMに暴露し対照群およびシスプラチン10μg/ml暴露群などと比較した。in vivoのSGP投与群では肉眼的に腫瘍の消失または縮小効果を示し、対照群と比較し有意に生存期間の延長がみられた。また、シスプラチン群でもSGP投与群と同等の腫瘍縮小効果がみられたがSGP投与群のような腫瘍の消失効果はみられなかった。ssDNA法によりペプチド投与後の組織切片を観察したところアポトーシス様細胞が観察された。in vitroでは10μM以上でネクローシス、3μM以下でアポトーシス様細胞が顕著に観察された。このSGPの細胞障害性の機序を解明するために現在、1.MTS増殖分析法を用い各血清濃度における腫瘍細胞増殖能および各濃度のペプチドの腫瘍細胞に対する細胞障害能などを観察中、2.蛍光染色法などを用いてペプチド暴露後の脂質膜に対する小孔形成および細胞内への影響を観察中である。
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