2004 Fiscal Year Annual Research Report
腰椎椎間関節の不動化が当該および隣接椎間板に与える効果に関する統合的解明
Project/Area Number |
14571353
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
白土 修 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (20206296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 泰幸 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70327055)
安田 和則 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
遠山 晴一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60301884)
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Keywords | 不動化 / 椎間関節 / 椎間板 / 変性 / 過負荷 / 除負荷 / 固定 |
Research Abstract |
昨年度(平成14、15年度)までの研究により、先ず脊柱後方構成体である腰椎椎間関節の不動化は、脊柱全体の剛性を著明に増加させることが明らかになった。したがって、この不動化は生体力学的に当該セグメントの前方構成体である椎間板に除負荷の環境を与え、また隣接セグメントの椎間板に過負荷の環境を与えることが判明した。次に、組織学的検討では、椎間関節の不動化は、隣接椎間板にはムコ多糖含有率の低下と線維輪線維の走行の異常を主な所見とする椎間板変性を生じさせる事が判明した。以上の結果を踏まえ、平成16年度はこれまでに確立した実験系を用いて、上記の結果を実証すべく、更に家兎手術を施行した。併せて、臨床例における解析も進めた。 その結果、以下の事実が明らかとなった。1)腰椎椎間関節の完全不動化は、time 0の時点から、長期に渡って隣接椎間の椎間板に、過負荷の環境を与える。その影響は、最も隣接する椎間板ほど大きく、不動化セグメントから離れるほど少なくなる。2)椎間関節の完全不動化が隣接椎間板へ及ぼす影響は、組織学的にも大きく、H-E染色、サフラニン-0染色において、隣接セグメントには強い変性が観察された。しかし、PCNA, CD31,VEGF, Collagen Type I, Collagen Type III, Tunnel染色を用いて施行した免疫組織学的研究では完全不動化による影響は確認されなかった。3)臨床例における神経放射線学的検討では、不動化椎間に対する隣接椎間板の変性・異常挙動がより顕著であった。しかし、自覚症状的には強い影響は認めなかった。 以上の結果から、今後、腰椎椎間関節の半硬性(不全)不動化が隣接椎間関節に及ぼす影響の解明が必須であり、臨床例における応用も期待できるものと考えられた。
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Research Products
(12 results)