2003 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷急性期における体内埋め込み型局所低温装置の開発
Project/Area Number |
14571384
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
尾形 直則 愛媛大学, 医学部, 助手 (30291503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 晴康 愛媛大学, 医学部, 教授 (10092446)
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Keywords | Spinal cord / Hypothermia / Rat / Hyperalgesia / Motor function |
Research Abstract |
【目的】我々はラット脊髄損傷モデルを作成し、33℃程度の軽度低体温が脊髄損傷の障害程度を軽減することを報告してきた。この低体温療法を更に効率的に、しかも安全に行うために、脊髄を局所的に低温に保つための装置の開発を手がけてきたが、今回その装置(小動物用)が完成し、その機能を検証した。 【方法】局所低体温装置は、電気的に温度勾配を作成するペルチエ素子を椎弓切除を行った部分の硬膜近傍に、低温部分を留置し、高温部分を体外で冷却するというシステムで、脊髄近傍に留置した温度センサーで、自動的に指定した温度に冷却維持されるようになっている。この装置を用いると損傷した脊髄周辺のみを指定した温度に冷却することができる。ラット脊髄損傷は20gの重錘で脊髄を硬膜上から圧迫する事によって行った。低温処理群では損傷の1時間後よりこの装置で損傷脊髄近傍が28℃になるように48時間冷却し、更にその24時間後に運動機能、感覚機能を対照動物(37℃)と比較して評価した。 【結果と考察】ラットの運動機能として、1時間当たりの平面上での移動量をモニターしたが、低温処置ラットでは対照動物の約2倍の移動能力を示した。また、1時間あたりの立ち上がり回数(下肢機能を反映する)も2-2.5倍に増加していた。脊髄損傷ラットでは損傷後、下肢足底部に温度感覚の知覚過敏が出現する。足底部に熱刺激を加えてから回避動作を取るまでの時間を痛覚域値としてモニターしたところ、対照動物では正常値12-14秒に対し、9.5秒と痛覚域値低下が見られたが、低温処置ラットでは12.07秒と正常範囲内にあり、知覚過敏が有意に抑制されていた。今後は低温の程度や、処理の時間を変えて至適条件を探る検討が必要である。
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