2002 Fiscal Year Annual Research Report
痛みの情報伝達とシナプス可塑性:ラット脊髄後角細胞のin vivoパッチクランプ記録と行動解析
Project/Area Number |
14571420
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
西川 光一 群馬大学, 医学部, 助手 (00334110)
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Keywords | パッチクランプ法 / 行動解析 / 神経因性疼痛 |
Research Abstract |
当初の計画どおり、神経因性疼痛モデルラットを使った電気生理実験のためのセットアップは初年度に完了した。実験装置の土台となる防振台を科研費から購入して、この上に実体顕微鏡と電気生理の装置をセットした。全身麻酔下のラットに気管切開カニューレを挿入し、二酸化炭素濃度や麻酔ガス濃度をモニタリングしながら人工呼吸を行い、脊髄後角単一神経細胞の細胞外電位記録を行って、ニューロンの自発性発火頻度を調べ始めている。すでにラット後肢への各種の侵害刺激においてこの頻度に変化が起こるが、これは臨床使用濃度の吸入麻酔薬イソフルランの存在下でこの頻度が変化することが確認され、安定した記録が可能である。 これと平行して、単一ニューロンからの細胞外記録と、脳・脊髄スライスでのブラインド・パッチクランプ法に準じて、脊髄後角ニューロンから全細胞記録にも挑戦しているが、技術的に困難であるため難航している。可能になると、パッチクランプ法は小型の細胞にも適応できるため、これまで記録が困難であった脊髄後角I・II層細胞からの記録も可能になる。膜電位固定下に興奮性シナプス後電流、膜電流固定下に自発性・刺激誘発性の電圧測定をして脊髄後角ニューロンの膜の電気生理学的性質を計測後、各種侵害刺激に対する電圧応答を記録する予定である。また、疼痛モデル動物作成も開始し、不完全神経損傷モデルとしてChungのモデルを作成している。坐骨神経を糸で結さつして、持続的な神経損傷を引き起こすものである。次年度にこれらの動物での電気生理実験を開始する予定である。
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