2004 Fiscal Year Annual Research Report
痛みの情報伝達とシナプス可塑性:ラット脊髄後角細胞のin vivoパッチクランプ記録と行動解析
Project/Area Number |
14571420
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
西川 光一 群馬大学, 医学部, 講師 (00334110)
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Keywords | GABA受容体 / 吸入麻酔薬 / パッチクランプ法 / シナプス伝達 / シナプス可塑性 / 痛覚 / 脊髄後角 / 神経因性疼痛 |
Research Abstract |
本研究の目的は、麻酔作用・疹痛情報伝達に重要な抑制系受容体チャネルの役割を、動物の行動、シナプスおよび分子レベルで解析することである。H16年度には、吸入麻酔薬セボフルランと下降性抑制系の神経伝達を担うノルアドレナリンの、GABA受容体を介した海馬標本抑制シナプス伝達への相互作用を詳しく検討した。セボフルラン(1.8%,20min)は、シナプス前性に作用して自発GABAシナプス電流の頻度を有意に増加させた。さらに、シナプス電流の下降相を著明に延長させ、GABA受容体の開口時間を延長させることが示唆された。振幅は麻酔薬によって僅かに減少したが、全体としてGABAシナプス電流を著明に増強し、抑制系シナプスの増強が観察された。一方、ノルアドレナリン(10mM)も、GABAシナプス電流の頻度を著明に増加させた。この作用はテトロドトキシンの存在下、あるいはアルファ受容体遮断薬の存在下では消失することから、a受容体を介した介在神経細胞の興奮が関与することが示唆された。しかし、GABA受容体電流カイネチクスへの影響はなかった(Nishikawa K et al., Brain Research,2005 in press)。したがって、これらの二つの薬剤は別な作用機序を介して抑制系の神経伝達を増強した。次に、ラットの脊髄神経細胞における興奮性および抑制性シナプス電流をin vivoパッチクランプ法を用いて調べ、プロポフォールの全身投与による影響を調べた。プロポフォール(5mg/kg)は、自発性GABA電流の頻度を減少させ、さらにGABA電流のdecayphaseを延長させたが、全体としてはGABA電流charge transferへの影響は少なかった(Takazawa et al., The Seventh International Conference on Basic and Mechanisms of Anesthesia at Nara,2005)。
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Research Products
(7 results)