2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体肝移植術における血小板凝集能の変化に関する研究
Project/Area Number |
14571431
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平方 秀男 京都大学, 医学研究科, 助手 (70271509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 健彦 田附興風会, 第三研究部, 研究主幹 (90252428)
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Keywords | 生体肝移植術 / 血小板 / 凝集能 |
Research Abstract |
生体部分肝移植術施行中の患者より、経時的に動脈ラインからクエン酸採血し室温にて静置した。採血してから、一時間後、血小板疑集能をSSRエンジニアリング社製全血血小板凝集能測定装置・WBAアナライザーを用いて測定した。この結果を採血時における手術各時点での血小板凝集能として評価することとした。血小板に対する凝集惹起物質としては、アデノシン二リン酸(ADP)、コラーゲン及びトロンボキサンA_2類似体であるSTA_2を使用した。各刺激物質は濃度展開し、それぞれ4種類の濃度で刺激を行うこととし、血小板凝集能が変化した場合、同等の血小板凝集を惹起するのに必要な凝集惹起物質の濃度が変化することで血小板凝集能の変化を捉えられるようにした。手術各時点で採血した検体ごとに、各疑集惹起物質すべてをそれぞれ個別に用いて刺激して、血小板凝集を測定することで、凝集に変化が見られた場合その変化の機序も推測できるように配慮した。この方法により、肝摘出期、無肝期、グラフト肝再潅流後の血小板凝集能を執刀前に採血して得られた対照群と比較検討した。 結果としては、個々の患者では手術経過中に血小板凝集能が低下する症例は多々見られたが、患者群として纏めると、特定の刺激物質による血小板凝集が特定の手術時期に有意差を持った変化として現れると言うことは、WBAアナライザーを用いて血小板凝集能を測定する本方法で検討する限り確認できなかった。現時点での結論は、「本方法で検討する限り生体部分肝移植術により血小板凝集能は変化しなかった」である。但し、これで本当に血小板そのものの変化が無かったと結論付けることはできない。さらに精度の高い凝集計を用いることで変化が見られるかもしれないし、凝集能としては変化していなくても、細胞としての活性化や、活性化に伴う放出反応などで、凝固系因子や血管平滑筋に影響を与え、出血傾向に変化を及ぼしているかもしれない。今後このような方面への研究を考慮している。
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