2003 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺傷害増悪因子としての人工呼吸:分子生物学的アプローチによるメカニズムの解明とその制御
Project/Area Number |
14571434
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森川 修 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (50335436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁科 かほる 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20311780)
三川 勝也 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40229662)
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Keywords | II型肺胞上皮細胞 / 細胞伸展 |
Research Abstract |
当研究の目的は、人工呼吸に起因する肺の過伸展が急性肺傷害をひき起こすメカニズムを探るため、培養II型肺胞上皮細胞と細胞伸展器によるin vitroモデルを作成し培養II型肺胞上皮細胞から分泌される向/抗炎症性メディエーターを分子生物学的に同定しその制御を検討することである。さらに各種薬剤がそれらメディエーターに及ぼす影響及び制御メカニズムを調べる。特に人工呼吸管理をうける患者に投与される鎮静薬(プロポフォール,ミダゾラム)を中心に人工呼吸による急性肺傷害を予防あるいは軽減できるかを検討する。実際の具体的な実験内容を以下に記載する。 ラット肺からII型肺胞上皮細胞を分離し、24時間培養後に培地を交換しさらに24時間培養した。その後、培養細胞伸展システムを用いて人工呼吸下での肺過伸展時と同様のストレスをII型肺胞上皮細胞に与えた。細胞伸展3、6、12、24時間後に培養液中のGRO/CINC(IL-8)をELISAを用いて測定した結果、時間依存性に増加した。また、敗血症が原因の急性肺傷害を同様のモデルを作成するため、II型肺胞上皮細胞を分離24時間後にLPS(lipopolysaccharide)を添加した。LPS刺激により培養液中のGRO/CINC(IL-8)は増加した。 これらの結果より臨床上人工呼吸に起因する肺障害(ventilator-induced lung injury : VILI)と同様の状態のin vitroモデルが作成された。、ラットのII型肺胞上皮細胞の培養下では、人工呼吸下での肺過伸展時と同様のストレスを与えると、24時間以内に時間依存性に肺傷害を引き起こしうると考えられるGRO/CINC(IL-8)が増加した。また、LPS刺激によりII型肺胞上皮細胞からのGRO/CINC(IL-8)が増加したことにより、臨床上遭遇する敗血症でもII型肺胞上皮細胞の損傷に細胞自身が分泌するGRO/CINC(IL-8)が関与していることが示唆された。 今後は、急性肺傷害患者に人工呼吸管理を行う状況を想定し、培養細胞をLPS刺激し細胞伸展を追加することでさらに向炎症性サイトカインが増加することを確かめ、各種薬剤の影響を検討する計画である。
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Research Products
(2 results)