2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経栄養因子アンチセンスRNAの脊髄腔内投与による難治性疼痛治療の開発
Project/Area Number |
14571438
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横山 正尚 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20158380)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 康二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20212540)
板野 義太郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30127542)
溝渕 知司 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (70311800)
|
Keywords | 神経栄養因子 / アンチセンスRNA / 難治性疼痛 |
Research Abstract |
3年計画の本研究の初年度として、術後痛モデルを作成し疼痛評価ならびに脊髄レベルでのc-Fos蛋白出現の時間的変化および局在部位を観察し、神経栄養因子アンチセンス投与の前段階実験を実施した。加えて、局所麻酔薬の前投与が疼痛行動ならびにc-Fos蛋白出現にいかなる影響を与えるかを検討した。 麻酔下のラットにブピバカイン、リドカイン、あるいは生食を後肢足底に切開を加える前に投与し、麻酔覚醒後切開部に機械刺激を与えることで逃避行動を時問経過で観察するとともに、脊髄を取り出し脊髄レベルでのc-Fos蛋白の出現を観察した。その結果、生食群でみられた1時間後よりの疼痛閾値の低下は、リドカインでは3時間、ブピバカインでは6時間まで抑制された。c-Fos蛋白発現はリドカイン群では3時間まで脊髄全層で抑制されたがその後は、生食群と同様であった。ブピバカイン群では全層ならびにI-II層では3時間まで抑制し、さらにIII-IV層では6時間、V-VI層では24時間まで抑制した。これらより、術後痛に対してpreemptive analgesiaが臨床上ほとんど効果を示さない根拠が、主に痛覚刺激に反応するI-II層でのc-Fos蛋白出現の抑制が局所麻酔薬の作用時間しか見られなかったことが一因であることが示唆された。しかし、より深層での長時問での抑制は神経因性疼痛の形成に影響を及ぼす可能性を示している。 現在、神経因性疼痛モデルの作成および脊髄内薬剤投与のカテーテル留置が完成し、アンチセンスの作成にとりかかっている。また、脊髄内落痛関連遺伝子発現を詳しく検索するため、PCR法を応用中である。
|