2003 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺損傷時の治療過程における体温変化の与える影響
Project/Area Number |
14571449
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
野口 隆之 大分大学, 医学部, 教授 (90156183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 正和 大分大学, 医学部, 講師 (20220022)
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Keywords | 低体温 / 炎症性サイトカイン / NF-κB |
Research Abstract |
これまでラットの誤嚥性肺炎モデルに脳損傷の急性期治療に使用される軽度低体温管理の、炎症初期段階の好中球浸潤の程度とICAM-1発現への影響、血液ガスと気道内圧の経時的変化を検討してきたが、低体温の肺傷害軽減のメカニズムが不明であった。2003年はそのメカニズム解明のためマクロファー系細胞のサイトカイン産生能に体温の及ぼす影響を検討した。 方法 マウスのマクロファージ系細胞RAW264.7細胞50X10^4/ml調整LPS100ng/ml添加・5%CO2下で培養温度を34℃、37℃、40℃、43℃を選択し、3時間後に細胞回収、核蛋白抽出ウエスタンブロットでNF-κB活性を測定、6,12,24,48時間における細胞培養上清のIL-1β、IL-6、TNF-αを測定し、48時間後の細胞活性を測定した。 結果 1.NF-κBは37℃に比較し34℃、40℃、43℃で抑制され34℃での抑制が強かった。 2.IL-1βは37℃で12時間後に20pg/ml、24時間後に90pg/ml、48時間後に120pg/mlまで上昇したが、34℃、40℃は12時間以後の上昇は見られなかった。 3.IL-6は37℃で6時間後は290pg/ml上昇、以後400pg/mlで推移したが、34℃、40℃では200pg/ml程度に抑制された。 4.TNF-αは37℃で6時間後に400pg/ml、48時間後に800pg/ml程度まで上昇したが34℃、40℃では200pg/ml、400pg/mlであった。 4.生細胞/総細胞数は45-49%で温度による差は見られなかった。 考案 LPS刺激時のサイトカイン産生能は、高温時・低温時のどちらのときも抑制される傾向が認められ、これは細胞内伝達物質の一つであるNF-kBの抑制によることが示唆された。
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