2004 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性ショックならびに多臓器不全時における血管反応性の変化に関する研究
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14571453
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
恒吉 勇男 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90301390)
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Keywords | 血管平滑筋 / 薬理作用 / ショック / 生体内ホルモン / 敗血症 / vasopressin / 多臓器不全 |
Research Abstract |
今回、購入したPressure Servo Control systemサーボコントロールでラット腸間膜動脈における吸入麻酔薬ハロセンの効果を検討した。結果として、ハロセンは、血管内カルシウムに依存することなく血管を拡張させた。これらの結果は、吸入麻酔薬の血管拡張機序の一つとして、従来から指定されていたカルシウムチャンネル抑制による血管弛緩を介さない新しい機序で吸入麻酔薬は血管を弛緩させる可能性が示唆された。 一方、従来から当研究室で検討しているヒト血管平滑筋等尺性張力測定モデルにおいて、ドパミンはヒト血管(橈骨動脈、胃大網動脈、内胸動脈)で異なった作用を示した。橈骨動脈では、濃度依存性に血管を収縮させた。胃大網動脈では、臨床濃度では弛緩反応を呈するのに対し、薬理学的高濃度では収縮を惹起した。内胸動脈では、濃度依存性に弛緩反応を生じた。これらの結果は、冠動脈バイパス術において、ドパミンは用いられる動脈グラフトによって作用が異なり、グラフトスパズムに対し橈骨動脈では促進的に、内胸動脈では拮抗的に、また胃大網動脈では濃度依存性に拮抗から促進的に作用する可能性が示唆された。 また、ヒト血管を用いた同実験モデルにおいて、持続的鎮静薬デックスメデトミディンは、α2アドレナリンレセプターを介した血管弛緩反応を生ずる一方で、脱分極作用によりカルシウムチャンネルを開口させ血管を収縮させる作用が認められた。この2相性の血管反応は、臨床の現場で認められる血圧上昇から低下という2相性の血圧変化に関与している可能性が示唆された。 これら研究結果は、米国において発表された麻酔教科書Vascular Reactivity Anesthetic Pharmacology : Physiological Principleにまとめて報告した。
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