2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14571476
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Research Institution | KURUME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
上田 直行 久留米大学, 医学部, 助教授 (70148831)
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Keywords | 筋弛緩 / 筋弛緩モニタ / 脳外科手術 |
Research Abstract |
【目的】小脳橋角部(cerebellopontine angle:以下CPA)周辺の脳外科手術操作、特に聴神経鞘腫の摘出術の際には、すぐ近くを顔面神経が走行しているので、手術操作による顔面神経損傷を未然に回避する必要からFacial Movement Monitor:FMMが術野から顔面神経電気刺激と顔面筋の動きを評価しながら行われる。しかし麻酔中の筋弛緩薬投与で、筋弛緩レベルが高すぎると、FMMの反応を捉えることが困難となる。しかし一方では、筋弛緩レベルが一定以上ないと予期せぬバッキングや体動を招くことがある。CPA部手術操作終了までは繊細な筋弛緩レベルのコントロールを必要とする。この研究の目的は脳外科手術が可能でかつFMMの反応を誘発できる適切な筋弛緩レベルの指標を見つけることである。 【方法】対象は19名のCPA周辺に腫瘍をもつ定例脳外科手術患者(男性11名、女性8名、年齢58.7歳、身長161.4cm、体重59.1kg)。麻酔導入前に手と足にそれぞれ筋弛緩モニタ(TOF Watch SX,Think Pad T30)を、顔にFMMを装着した。筋弛緩レベルは手では尺骨神経、足では脛骨神経への四蓮刺激に対応する母指内転、足底屈運動のTOFカウントおよびT_1のコントロール比で指標を求めた。麻酔の維持はO_2、N_2O 50%、セボフルレン1.8〜2.2%、ETCO_2は28〜30mmHgに保った。術野から顔面神経に刺激を与えその時のFMM反応を有無、TOFカウント、T_1値、さらに気管内吸引刺激の反応の有無を調べた。 【結果と結語】手でのTOFカウント0、1、2、3、4の時FMM反応出現率はそれぞれ10.2、26.3、74.4、100、100%、足では4.7、17.6、88.4、100、100%であった。横隔反応出現率を考慮し、必要最小限の筋弛緩レベルの指標は、手ではTOFカウント1、T_1値8〜10%、足ではTOFカウント1か2、T_1値15%前後が至適筋弛緩レベルと考える。
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