2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイを用いた尿路性器癌における制癌剤耐性遺伝子の同定と耐性機構の解明
Project/Area Number |
14571506
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古賀 寛史 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20271108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横溝 晃 九州大学, 大学病院, 助手 (60346781)
奥村 幸司 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (40325519)
内藤 誠二 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40164107)
角田 俊之 九州大学, 大学病院, 医員
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Keywords | 尿路性器癌 / 薬剤耐性 / 耐性遺伝子 / 耐性克服 / マイクロアレイ / 抗癌剤 / シスプラチン / 膀胱癌 |
Research Abstract |
膀胱癌細胞株において、マイクロアレイ解析で親株とシスプラチン耐性株との間に発現の差を認める遺伝子の中からInositol 1,4,5-triphosphate receptor type1(IP_3R1)遺伝子を同定した。IP_3R1は小胞体膜上に位置し細胞質内Ca濃度を調節するとともにアポトーシスを誘導する。小胞体は蛋白質の3次元構造構築に関与するが、細胞に小胞体ストレスがかかるとこの機能が障害され変異蛋白質が細胞内に蓄積する。すると細胞内Ca濃度の調節によって小胞体ストレスのマーカーであるα-subunit of eukaryotic initiation factor 2(eIF-2α)がリン酸化され蛋白翻訳停止を通じて、アポトーシスが誘導される。そこで我々はシスプラチンの耐性機構を解明するために小胞体ストレスとIP_3R1の関連について解析した。シスプラチンは親株でのみeIF-2αのリン酸化を誘導した。シスプラチン耐性株T24/DDP10では、IP_3R1を強発現させシスプラチン刺激を加えた場合のみeIF-2αのリン酸化が観察されアポトーシスが誘導された。細胞内Ca濃度の上昇のみでもアポトーシスは誘導されたが、eIF-2αリン酸化は誘導されなかった。これらの結果より細胞内Ca濃度を調節するIP_3R1は、小胞体ストレスによるeIF-2αのリン酸化を介したアポトーシスの誘導に関連していることが示唆された。またMTSアッセイでは、IP_3R1の発現とCa上昇により耐性株のシスプラチンに対する感受性を上昇させた。以上より膀胱癌のシスプラチン耐性獲得のメカニズムはIP_3R1の発現抑制により、小胞体ストレスを介したアポトーシスに対し抵抗性を生じている可能性が示唆された。現在その他の遺伝子の解析とともに、IP_3R1の転写因子レベルでの発現制御機構に関して分析中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Koga H, Naito S: "A randomized controlled trial of short-term versus long-term prophylactic intravesical instillation chemotherapy for recurrence after transurethral resection of Ta/T1 transitional cell carcinoma of the bladder."Journal of Urology. 171(1). 153-157 (2004)
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[Publications] Yokomizo A: "Luteinizing hormone beta polymorphism and risk of familial and sporadic prostate cancer. Prostate, 56:30-36,2003"Prostate. 56(1). 30-36 (2003)