2004 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌に対する複数の治療的遺伝子同時発現アデノウイルスの治療効果増強に関する検討
Project/Area Number |
14571519
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
入江 啓 北里大学, 医学部, 講師 (50193694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩村 正嗣 北里大学, 医学部, 講師 (20176564)
宋 成浩 北里大学, 医学部, 助手 (30206669)
佐藤 威文 北里大学, 医学部, 助手 (50286332)
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Keywords | 遺伝子治療 / 膀胱癌 / アデノウイルス / アデノウイルスレセプター / 癌遺伝子 / リボザイム / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
膀胱癌遺伝子治療における、治療効果増強を目的とした研究を行ってきた.まず2個の治療的遺伝子をアデノウイルスベクター(Ad5)に組み込み、これら遺伝子が治療後良好に腫瘍細胞内で発現し、標的遺伝子およびその標識蛋白の発現量を変化させる事を確認.さらにこのベクターの治療効果が、単一治療的遺伝子導入時より優れており、非特異的細胞障害性を減弱させることを確認した.続いて、このアデノウイルスベクターの膀胱癌細胞への感染効率の向上を目的とした研究を行った.前年度までに、アデノウイルスの感染効率が、そのレセプターであるCAR(Coxsackie-Adenovirus Receptor)の標的細胞内での発現量に依存し、感染効率が異なる傾向を確認した.高悪性度膀胱癌細胞で、CAR発現が低下しているとの報告もあり、複数の膀胱癌細胞株を含めた継代ヒト癌細胞(前立腺、腎、結腸)におけるCAR発現量を、RT-PCRおよびFACSにより定量化し、さらにアデノウイルスの感染効率とこれらの相関につき検討した.CAR発現量およびアデノウイルス感染効率ともに、細胞の培養状況の影響を受け、安定した相関傾向は確認されなかった.つまり、培養細胞密度、継代数などの条件の差に依存して、CAR発現量、ウイルス感染効率が異なることが確認された.そこで、CARの発現に依存しないアデノウイルスベクター(Ad5/F35)による、膀胱癌細胞への感染効率増強に関する検討を行った.Ad5/F35のレセプターであるCD46の発現を、複数のヒト膀胱癌細胞株で検討したところ、CARと異なり高悪性度膀胱癌細胞で高発現していることが確認された.Ad5/F35の膀胱癌細胞の感染効率は、CAR発現減弱を認める細胞においても良好な感染性を示し、CAR発現を認めていないと報告されている膀胱癌細胞T24においても極めて良好な感染性を認めた.
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