2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウスならびにヒト下垂体ホルモン分泌細胞の体外分化誘導に関する研究
Project/Area Number |
14571531
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
田熊 直之 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (10312464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千石 一雄 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (30163124)
山下 剛 旭川医科大学, 医学部, 講師 (30271787)
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Keywords | SHH / BMP4 / FGF8 / Lhx3 / Lhx4 / Isl1 / mesoderm / Rathke's pouch |
Research Abstract |
本研究は哺乳動物において、mesodermからシグナル分子を作用させることにより予想される転写因子群の発現を誘導し、ラトケ嚢原基から下垂体前葉ホルモン分泌細胞を作成する事を目的とした。現在までに以下の事が明らかになった。 1.マウス系統及びマウスのGenetic Background : CD1とB6を交雑することにより若干(E: Embryonic dayで0.5日)のmesodermの分化発生時間の早期化が生じたが、Embryonic dayは発生学上のsomite numbersで統一した。 2.培養条件:発生初期の下垂体前葉原基は厳密にはmesoderm由来であるが、神経組織とみなした培養条件(培養液など)が適していた。 3.mesodermからラトケ嚢原基への誘導において、以前、我々が明らかにした間脳からの必須誘導因子であるBMP4およびFGF8以外にmesoderm自体からの自律的な誘導因子の発現が不可欠と考えられ、SHH (Sonic hedgehog)が、パラクライン的にその作用下流と考えられる転写因子Isl-1を発現させることにより、ラトケ嚢が分化していくと推定した,(SHHを作用させることによりautomaticにIsl-1は発現する)。しかしながら、SHH, BMP4およびFGF8の誘導分子をいかなる条件で作用させてもmesoderm単独培養ではE11.5相当のラトケ嚢までの自立的な分化誘導は困難であり、E11.5でアポトーシスを引き起こした。このことは、さらなる他の誘導分子が必要である可能性があり、近接している腹側間脳と共培養を行ったところE12.5相当のラトケ嚢まで分化した。またIsl-1が十分発現した以降の分化したラトケ嚢(E11.5)においては、転写因子Lhx3及びLhx4の発現が確認された。(E12.5以降の中期の発生は、J.Ericsonらが体外培養実験に成功しており、さらにE13.5以降より最終分化に必要とされる転写因子Pit1に関しては、K.Sharmaらが検討している。) 4.発生初期に腹側間脳に発現が認められる候補誘導分子はさらにWNT5AとFGF10が最近確認された。しかしながら、我々の検討においてin vitroでは、それでも充分な分化はしなかった。このことより最も重要なのは、SHHとBMP4の一過性の発現およびその後のすみやかな消失が必須であることが推定され、実際に他の研究者もこれらの誘導分子のinhibitorsに着目しつつある。今後in vitroの系においてもそこを解明する必要があると考える。最近、inhibitorsの候補にBMP2やnogginなどが挙げられており、現在我々もin vitroで検討中である。
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