2002 Fiscal Year Annual Research Report
黄体機能および着床現象における血管作動性生理活性物質の分子生物学的調節機構の解析
Project/Area Number |
14571544
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
久保田 俊郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50126223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
己斐 秀樹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20280969)
麻生 武志 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60093176)
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Keywords | Heme oxygenase(HO) / 一酸化炭素 / 着床 / ヒト子宮内膜 / 妊娠初期ヒト絨毛 / 黄体期 |
Research Abstract |
正常周期特に黄体期から着床に至る期間での子宮内環境に及ぼす一酸化炭素(CO)の影響を探究する目的で、Heme oxygenase(HO)の黄体期および着床期子宮内環境における発現の有無について検討した。同意のもとに採取した正常月経各周期のヒト子宮内膜組織、そして妊娠初期ヒト脱落膜および絨毛組織より抽出したRNAに対し、ヒトHO-1、HO-2のmRNA発現をRT-PCR法にて解析した。次に抗ヒトHOポリクローナル抗体を用いABC法による免疫組織染色を行った。さらに同組織を用い、ウエスタンブロット法にてHOの蛋白発現の有無を検討した。結果として、全ての周期のヒト子宮内膜組織において、HO-1・HO-2のmRNA発現が認められ、HO-1の発現は周期により差はなかったが、HO-2の発現は増殖期よりも分泌期に上昇した。ウエスタンブロット法でも、ヒトHO-1とHO-2の蛋白分子量に一致する位置にbandが出現し、そのHO蛋白の発現様式はmRNAと同じ傾向を示した。子宮内膜組織での免疫染色では・HO-1蛋白は上皮にその局在が認められ、組織中のマクロファージにもHO-1が発現していることが判明した。一方HO-2蛋白はHO-1蛋白とは異なり、血管内皮と血管平滑筋にその局在が認められた。次に妊娠初期絨毛での検討では、HO-1・HO-2ともにmRNAおよび蛋白発現が証明され、免疫染色法では、HO-1蛋白はtrophoblastに局在しており特にsyncytiotrophoblastは強く染色された。HO-2は絨毛の血管内皮および平滑筋にのみ発現がみられ、trophoblastにはその発現はみられなかった。以上の結果により、黄体期後期から着床期におけるヒト子宮内膜および絨毛にはHOが存在し、その作用の1つとしてCOが各組織内での血管の拡張と血流の維持に関与している可能性が強く示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Harada T, Kubota T et al.: "Usefulness of CA19-9 Versus CA125 for the diagnosis of endometriusis"Fertility and Sterility. 78(4). 733-739 (2002)
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[Publications] 久保田 俊郎: "機能性出血の定義とその分類"産科と婦人科. 69(4). 409-414 (2002)
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[Publications] 原田竜也, 己斐秀樹, 久保田俊郎他: "ヒト卵巣におけるHeme oxynegaseの発現に関する検討"日本不妊学会雑誌. 47(4). 147 (2002)
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[Publications] 原田竜也, 己斐秀樹, 久保田俊郎他: "ブタ卵巣におけるHOの発現とステロイド産生能に与える影響に関する検討"日本内分泌学会雑誌. 78(2). 394 (2002)
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[Publications] 久保田俊郎: "生殖内分泌「産婦人科におけるEBMを考える」"日本産科婦人科学会関連連合地方部会会報. 39(2). 103 (2002)
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[Publications] 久保田 俊郎: "今日の治療指針 第5版"医学書院. 2092 (2002)