2004 Fiscal Year Annual Research Report
黄体機能および着床現象における血管作動性生理活性物質の分子生物学的調節機構の解析
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14571544
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
久保田 俊郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50126223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻生 武志 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60093176)
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Keywords | Heme oxenase(HO) / 一酸化炭素 / 着床 / ヒト子宮内膜 / 妊娠初期絨毛 / ブタ顆粒膜細胞 / アポトーシス / Fas ligand |
Research Abstract |
本研究では一酸化炭素(CO)とCOを産生する酵素であるヘムオキシゲナーゼ(HO)に焦点を当て、一酸化窒素(NO)/NO合成酵素(NOS)系とCO/HO系が排卵後の黄体機能調節、さらに着床期の子宮内環境に及ぼす影響について分子生物学的、免疫組織学的に検討した。正常周期黄体期から着床期でのヒト子宮内膜組織において、HO-1・HO-2のmRNA発現が認められた。HO-1の発現は月経周期により差はなかったが、HO-2の発現は増殖期よりも分泌期に上昇し、この結果はウエスタンブロット法でも確認された。子宮内膜組織での免疫染色では、HO-1蛋白は上皮にその局在が認められ、組織中のマクロファージにもHO-1が発現していることが判明した。一方、HO-2蛋白は血管内皮と血管平滑筋にその局在が認められた。次に妊娠初期絨毛での検討では、HO-1・HO-2ともにmRNAおよび蛋白発現が証明され、HO-1蛋白はtrophoblastに局在し、HO-2は絨毛の血管内皮および平滑筋にのみ発現がみられた。よってこの時期のヒト子宮内環境にはHOが存在し、その作用の1つとしてCOが各組織内での血管の拡張と血流の維持に関与している可能性が強く示唆された。一方、卵巣機能や黄体機能に及ぼすCO/HOの影響を検討すると、HOはブタ顆粒膜細胞(PGC)・黄体および血管内皮細胞に局在することが証明された。形態的に2種類に分離されたPGCのうち、壁側PGCのアポトーシス細胞はHO donor(hemin)により有意に増加し、HO inhibitor(ZnPP IX)により抑制された。また、壁側PGCで発現したFas ligandは、heminにより有意に増加し、ZnPPIXにより抑制された。従って、HOはFas ligandを増加させautocrine/paracrineに顆粒膜細胞のアポトーシスを誘導すること、そしてHOは顆粒膜細胞の性steroid産生を抑制することより、卵胞退縮に関与している可能性が強く示唆された。以上の結果より、排卵後卵巣に形成される黄体の機能調節と、妊娠が成立し着床期に至る子宮内環境の調節には、NO/NOS系とともにCO/HO系も重要な役割を果たしていることが証明された。
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Research Products
(6 results)