2002 Fiscal Year Annual Research Report
閉経後日本人女性の骨量変化に及ぼす内分泌的遺伝的因子の影響と骨量予知に関する研究
Project/Area Number |
14571576
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
五來 逸雄 国際医療福祉大学, 保健学部, 教授 (70162170)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茶木 修 横浜市立大学, 医学部, 助手 (70305457)
|
Keywords | 骨密度低下 / エストロゲン欠乏 / 骨粗鬆症 / 遺伝的因子 / 腰椎骨密度 / DXA法 / 骨代謝マーカー / 尿中NTX |
Research Abstract |
女性では閉経後エストロゲン欠乏が主因となり,骨密度が急激に低下する。骨代謝でのリモデリング周期には個体差が大きく多様性を示すため閉経後の期間とは関係なく骨量喪失率は個体によりかなり異なる.骨密度の変化には,身体的因子,環境因子,遺伝的因子などが影響を与え,相互に作用して骨粗鬆症発症に関与するため将来の骨粗鬆症発症・骨折の高危険群を効率よく選別することは骨粗鬆症予防を考える上で重要である。14年度は本研究の初年度であるので選定した対象が正常月経周期を有した自然閉経女性であることを確認し、骨代謝に影響を及ぼす疾患やホルモン補充療法を含めて薬剤服用者は除外した。食事の調査は栄養士の有資格者が対象である各個人に直接面接し、食事内容の聞き取り調査を行った。同時に、月経歴・妊娠分娩歴・授乳の状態、既往歴、職業、スポーツ、喫煙・アルコール摂取等をすべて同じインタビューアーが調査した。同意のもと血液・尿検体を採取し-40℃にて保存、同時にヘパリン加採血によりリンパ球を採取しDNAを抽出した。骨密度測定はDXA法にて腰椎(L2-4)、大腿骨(頚部・total hip)橈骨を測定した。原則として調査開始時に胸腰椎正面・側面撮影により椎体圧迫骨折の判定を厚生省の基準により実施した。骨吸収マーカーでは尿中I型コラーゲンN末端架橋テロペプチド(NTX)、尿中I型コラーゲンC末端架橋テロペプチド(u-CTX)、血中CTx(s-CTX)、尿中デオキシピリジノリン(f-DPD)、骨形成マーカーでは骨型アルカリフォスファターゼ(BALP)、インタクトオステオカルシン(IOC)、血中I型プロコラーゲンN末端プロペプチド(PINP)を定量した。研究開始時の骨代謝マーカーの基礎値と1年後の腰椎骨密度変化率とは有意な負の相関を示した。尿中NTXの基礎値と1年後の腰椎骨密度変化率との相関はr=-0.346(p<0.0001)であった。骨密度低下率が-3%以上のいわゆるfast bone loserを効率よく識別する目的でROC曲線を求めるとそれぞれのAUCはNTX=0.722,CTX=0.644,FDPD=0.578,fPYD=0.556であった。NTXのAUCは他のそれに比較し有意に(p<0.002)大きかった。
|
-
[Publications] 五來逸雄: "骨代謝マーカーによる将来の骨密度の変化の予測"Osteoporosis Jpn. 10. 262-266 (2002)
-
[Publications] 五來逸雄: "閉経後日本人女性の骨密度の変化の予知と閉経後骨粗鬆症発症に関与する遺伝的因子に関する研究"日更年医誌. 10. 47-51 (2002)
-
[Publications] 五來逸雄: "更年期と骨粗鬆症.長寿科学振興財団編 骨粗鬆症の予防と治療"長寿科学振興財団:東京. 51-64 (2002)