2003 Fiscal Year Annual Research Report
原因不明の胎児脳神経障害の発生機序ならびにその予防に関する研究
Project/Area Number |
14571587
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
正岡 直樹 日本大学, 医学部, 講師 (50199668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 康仁 日本大学, 医学部, 助手 (10350018)
永石 匡司 日本大学, 医学部, 助手 (70297810)
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Keywords | 胎児脳神経障害 / 臍帯血流障害 / 虚血・低酸素-再灌流 / フリーラジカル / MCH-186 |
Research Abstract |
本年度は臍帯血流遮断時において、胎仔脳神経障害の発症因子の一つであるhydroxyl-radical(HR)産生について観察し、ついで母獣にHR scavengerであるMCI-186(3-methyl-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one)を投与し、子宮内治療の可能性を検討した。 方法として羊胎仔実験モデルを作成し、脳深部白質にはbrain microdialysis probeを設置した。3頭に3分毎に1分間の間歇的臍帯血流遮断を1時間、4頭においては10分間の持統的臍帯血流遮断を施行した。透析液として5mM Sodium salicylateを用い、透析液を採取し、HR attackの指標となる透析液中の2,3-dihydroxy-benzoic asid(2,3-DHBA)をHPLC法にて測定した。他の4頭には10分間の血流遮断時終了直前からMCI-186 60mgを母獣大腿静脈より投与しHR産生抑制効果の検討に供した。 結果として(1)臍帯血流遮断前のコントロール期の2,3-DHBA温度は23.09±10.93nMであった。(2)間歇的臍帯血流遮断時においては遮断中、遮断後の2,3-DHBA温度に有意の変化を認めなかった。(3)持続的遮断群の2,3-DHBA濃度は遮断終了時に40.05±21.3nM、遮断後93.4±24.21nMと有意に上昇した。(4)MCI-186投与群の遮断後2,3-DHBA濃度は29.35±8.31nMと明らかな抑制を認めた。 MCH-186は経胎盤性に臍帯血流遮断・再灌流時における胎仔脳でのHR産生を抑制することが判明し、子宮内治療の可能性が示唆された。
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