2003 Fiscal Year Annual Research Report
精子形成に関与する染色体構造蛋白の発現におけるアンドロゲン作用に関する検討
Project/Area Number |
14571594
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Research Institution | HYOGO COLLEGE OF MEDICINE |
Principal Investigator |
霞 弘之 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (00289068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 慎二 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (60195865)
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Keywords | アンドロゲン / アンドロゲンレセプター / Transition protein / 精子形成 / CAG repeat / 染色体構造蛋白 |
Research Abstract |
【目的】本研究では、Aの造精機能への影響をこのARの機能異常について特にExon AのCAG repeat数との関連を中心に検討した。 【方法と成績】 1.造精機能障害患者におけるAR遺伝子の解析 無精子症及び乏精子症の患者136名にてARの点突然変異は同定されなかった。また、乏精子症の患者117名および妊孕能のある男性136名(文献より引用分を含む)のARのExon AのCAG repeat数を検討したところ、乏精子症男性においてはCAG repeat数が15以下の症例を9例認めたが、正常男性では認められなかった。 2.造精機能に関与する遺伝子の発現に対するAの影響について マウスの検討にて、造精過程における染色体のcondenseに関与しているtransition protein及びprotamineの発現異常は、乏精子症および精子無力症などの異常の原因になると報告されている。そこで、これらの遺伝子の発現におけるA作用について検討した。 1)TP1、TP2及びprotamineの発現の検討 TP1の5'上流領域をluciferase遺伝子の上流に組み込みTP1の発現を解析する目的のレポーター遺伝子を作成した。また、CAG repeat数がそれぞれ43,22,15,12のヒトAR遺伝子を組み込んだ発現ベクターを作成した。両者の遺伝子をCOS7細胞にelectroportion法にて導入してdihydrotestosterone(DHT)添加後のluciferase活性を計測した。このTP1及びTP2の5'上流領域を用いた発現実験の結果、ARのCAG repeat数が22の場合は、DHT添加によりluciferase活性の上昇が認められた。一方、ARのCAG repeat数が43,15,12の場合は、DHT添加にてもluciferase活性の上昇が認められなかった。 2)TP1及びProtamineのpromoter領域(5'上流遺伝子)でのA結合領域の同定 TP1、TP2及びProtamine5'上流領域を200-300bpの断片に細分化した。また、上記と同様にCOS7細胞にwild typeのARをtransfectionしてDHTを添加後に核蛋白を抽出した。これらの断片と核蛋白用いてGel shift assayを行い、核蛋白が結合する領域を検討した。結合した領域を用いて上記の発現実験を行った。TP1では-754--471bpの上流領域、TP2では-1218--858bpの上流領域に結合する領域が存在することが判明したが、Protamineでは認められなかった。Competition assayにてこの領域がDHTの添加に抽出した核蛋白が特異的な結合領域であることが判明した。TP2に関しては、抗AR抗体を添加した場合には、super shiftが起こることが判明した。TP1に関しては、Super shiftは認められなかった。 3)核蛋白が結合する領域の同定 TP1とTP2の5'上流に核蛋白が結合する領域をより詳細に検討するために、同定した断片と核蛋白を用いてfootprinting法を行い検討した。TP1では1つの結合領域が判明した。その領域にはDfd motifが存在することが判明した。一方、TP2には3つの結合領域が明らかになった。それらの中にはandrogen responsive elementを認めた。 【結論】 Aは精巣のgerm cellにおいては、TP1とTP2の発現に関与している可能性が明らかになった。また、ARの機能発現においてexon AのCAG repeat数が関連していることも明らかになった。
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