2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト子宮平滑筋の収縮頻度調節に関与する細胞膜イオンチャンネルに関する研究
Project/Area Number |
14571596
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
井上 善仁 福岡大学, 医学部, 講師 (20260698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瓦林 達比古 福岡大学, 医学部, 教授 (30142350)
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Keywords | 子宮平滑筋 / 電位固定法 / T型カルシウムチャンネル / 過分極誘発性内向き陽イオン電流 / 単離細胞 |
Research Abstract |
患者から文書による同意を得た上で、帝王切開時に採取したヒト子宮筋切片を、5〜7×2mmの小片に細切した後、Ca除去生理食塩水にcollagenaseを加えた溶液中(1mg/ml)で37℃、60分酵素処理することで、平均250×40μmの単離子宮平滑筋細胞を得ることが出来た.本細胞はCa除去生理食塩水中に浮遊させた場合はほとんどが弛緩しているが、外液をCaを含んだ生理食塩水とし、オキシトシンやATPを投与することで倒立顕微鏡下に収縮を確認する事ができ、細胞の状態として問題の無いことが示唆された.電位依存性のカリウム電流を抑制した内外溶液組成の条件下(外液は通常の生理食塩水、内液は高Cs溶液)で、得られた細胞にwhole-cell voltage-clamp法を応用して電流を測定し、内向きのCa電流にはいわゆるL型Ca電流とT型Ca電流が存在する事を確認した.前者は収縮の強度を調節する役割を持っているが、後者はその活性化電位が低い事から収縮頻度の調節をしていることが十分考えられるので、今後はその遺伝子をクローニングし、T型Ca電流を有さない細胞に発現させた上でその機能的意義を検索する方針である.過分極誘発性内向き陽イオンチャンネル電流(If)については、細胞により認められるものとそうでないものが混在しており、同チャンネルを有する細胞の出現頻度が低いため十分な特性の評価をするまでに至っていないが、この結果はヒト子宮ではラットと異なり縦走筋と輪走筋の区別は形態的には不可能であるが、やはり性質の異なる細胞が混在している事を示すものではないかと考えている.
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