2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト子宮平滑筋の収縮頻度調節に関与する細胞膜イオンチャンネルに関する研究
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14571596
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
井上 善仁 福岡大学, 医学部, 講師 (20260698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瓦林 達比古 福岡大学, 医学部, 教授 (30142350)
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Keywords | 子宮平滑筋 / T型カルシウムチャンネル / 電位固定法 / 過分極誘発性内向き電流 |
Research Abstract |
患者から文書による同意を得た上で帝王切開時に採取したヒト子宮筋切片を用いた電気生理学的研究では収縮頻度調節に関与している可能性がある科分極誘発性内向き電流(If)は安定して記録されず、研究の標的としては不十分な結果しか得られない可能性がある。従ってもうひとつの候補であるT型カルシウムチャンネルを対象として、平成15年度は主に生化学的手法でアプローチした。妊娠ヒト子宮筋切片よりT型カルシウムチャンネルをコードするmessenger RNA (mRNA)を抽出し,そのサブタイプを検討したところ、市販の未妊娠女性由来のヒト子宮筋細胞株でのサブタイプとかなり異なることが分かった。同時にヒト子宮筋の詳細な実験に移る前の予備的実験として、妊娠ラット子宮筋を使用してcomparative kinetic RT/PCR法によりL型およびT型カルシウムチャンネルmRNA量の妊娠中の変化を縦走筋と輪走筋各々で検討した。T型カルシウムチャンネルのサブタイプとしてはα1G、α1H、α1Iの三つを比較検討した。まずL型カルシウムチャンネル(α1C)mRNAは妊娠中縦走筋では妊娠初期と後期に増加を示し、N型の変化となるが、輪走筋では妊娠後期に増加する変化であった。T型カルシウムチャンネルmRNAではα1Iは縦走筋、輪走筋ともに発現していなかった。縦走筋ではα1H mRNAはα1Cと同様のN型の変化であり、一方α1G mRNAは分娩日に急速な増加を示した。輪走筋ではα1Hは変化に乏しく、α1G mRNAは妊娠15日と分娩日に有意に増加していた。今後はヒト子宮筋のT型カルシウムチャンネルをアフリカツメガエルの卵に発現させ、電位固定法により機能的な意義を検討する予定である。
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