2002 Fiscal Year Annual Research Report
可逆性末梢前庭障害に対する薬剤の直接内耳投与法に関する研究
Project/Area Number |
14571621
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
下郡 博明 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (70226273)
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Keywords | 前庭障害 / アミノグリコシド / 虚血 / AMPA / CNQX / 抗酸化剤 |
Research Abstract |
モルモットを用いて、アミノグリコシド、あるいはグルタミン酸による前庭障害に対する各種薬剤効果を検討した。 アミノグリコシドによる障害は、モルモットの一側内耳に浸透圧ポンプを用いて30%のストレプトマイシンを24時間微量持続注入することで作成した。臨床応用されている抗酸化剤(エダラボン)は、ストレプトマイシンによる前庭障害に対して、前庭眼反射の利得の低下を有意に軽減した。また、同障害モデルに対して、エダラボンを局所投与した群は、全身投与群に比較して、障害後の自発眼振が有意に抑制された。 グルタミン酸による前庭障害は、モルモット一側内耳に小孔をあけ、局部より10mMのAMPAを50μlを5分間で注入することで作成した。この障害は、虚血時と類似の組織変化を来すこと、この条件では、脳反対側の内耳に影響が行かないこと、1週間で前庭機能は回復してくることを確認した。グルタミン酸レセプターアンタゴニスト(CNQX)局所投与は、濃度依存性に障害を軽減したが、前庭機能を回復するには至らなかった。しかし、エダラボン局所投与は、CNQXよりもより効率よく前庭障害を軽減せしめた。 以上の結果から、エダラボン局所投与はアミノグリコシド、あるいは虚血による前庭障害に対して有効な治療法となる可能性がわかった。
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