2003 Fiscal Year Annual Research Report
成長因子・アポトーシス阻害薬が嗅上皮におよぼす影響
Project/Area Number |
14571630
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
太田 康 自治医科大学, 医学部, 講師 (40251285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市村 恵一 自治医科大学, 医学部, 教授 (00010471)
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Keywords | 嗅上皮 / アポトーシス / コルヒチン / カスパーゼ3 / マウス |
Research Abstract |
嗅上皮は常に増殖しターンオーバーを操り返している。そのため、つねにアポトーシスをおこしていることも知られている。とくに嗅上皮に傷害を与えたときはアポトーシスも増加する。逆にアポトーシスを抑制、コントロールできれば、嗅上皮の障害の治療、すなわち嗅覚障害の治療方法に発展させられる可能性がある。今回コルヒチンを投与した傷害マウス嗅上皮にアポトーシス抑制薬の一つであるカスパーゼ3抑制薬(DEVD-FMK)を投与し、アポトーシスの抑制をタネル法、また光学顕微鏡で検討した。生後4週のICR雄マウスにコルヒチン0.04mgを腹空内投与した。これをアポトーシス群とした。2日後に4%パラホルムアルデヒドで還流固定、断頭、10%EDTA液で約1週間脱灰し、パラフィン包埋、0.4μmの切片を作成した。一方、DEVD-FMK0.03mgをコルヒチン投与前日から固定日まで4日間、1日1回腹空内投与し、アポトーシス抑制群とした。以後、固定方法などはアポトーシス群と同じである。アポトーシス群、アポトーシス抑制群をHE染色標本、タネル法で比較検討したところ、HE染色標本において、アポトーシス群のマウスにおいては、嗅上皮の基底層を中心にアポトーシスが多数認められた。一方アポトーシス抑制群のマウスにおいてはアポトーシスはほとんど認められなかった。タネル法では、アポトーシス群のマウスにおいては、嗅上皮の基底層を中心にタネル陽性細胞が多数認められた。一方アポトーシス抑制群のマウスにおいては、タネル陽性細胞はごく少数認められただけであった。アポトーシス抑制薬の一つであるカスパーゼ3抑制薬(DEVD-FMK)の投与によって、アポトーシスが著明に抑制されることが判明し、嗅上皮におけるアポトーシスにはカスパーゼ3が関与していること、カスパーゼ3抑制薬(DEVD-FMK)はカスパーゼ3を抑制することによってアポトーシスを抑制していることが考えられた。
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