2002 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌患者の末梢血単核細胞におけるTCR-ζ発現度及びアポトーシス
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14571639
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
齊藤 孝夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00235045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 謙祐 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70338862)
佐藤 英明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80277037)
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Keywords | 頭頸部扁平上皮癌 / TCR-ζ / Apoptosis / Fas-R / TNF-R1 / TUNEL法 |
Research Abstract |
我々は過去の研究で、非担癌状態の扁平上皮癌症例において、腫瘍浸潤リンパ球(TIL : Tumor infiltrating lymphocyte)のみならず、末梢血リンパ球でさへも、そのT細胞受容体ζ鎖(TCR-ζ: T cell receptor-ζchain)の発現頻度が統計学的に有意に低値であることのみならず、TUNEL法にて末梢血リンパ球のLate-phaseのApoptosisを観察したとき、健常人(Age-matched control)と比較して、統計学的に有意に高値を示していることを報告してきた。 他方、細胞表面に存在するFas-R(FS-7associated surface antigen receptor)と結合することによりApoptosisを誘導することが可能な抗Fas抗体(CH-11)をT細胞に作用させた実験系において、Fas-Fas-Rを介してT細胞内のシグナル伝達によりCaspaseが活性化され、このことがT細胞のApoptosisを誘導することのみならず、TCR-ζが切断されることを示した。同時に腫瘍細胞表面にも同様にFas-L(Fas-ligand)が存在することが証明されてきており、腫瘍細胞によるT細胞へのApoptosis誘導の可能性も示した。 癌症例における末梢血リンパ球では、その表面マーカーであるFas-RやTNF-R1の過剰発現も認められており、このことがTILのみならず末梢血リンパ球でさへもTCR-ζの発現抑制及びApoptosisの賦活化に関与しているのではないかとの仮説を立てた。同時に、これまで対象とした非担癌状態の頭頸部扁平上癌症例でさへも、こうしたTCR-ζの発現抑制、Apoptosisの賦活化が末梢血リンパ球にて認められたことより、造血システムにおける負の腫瘍効果が、非担癌状態になった時点においてさへも長期に及ぶことが示唆された。 本研究では、頭頸部扁平上皮癌担癌症例を対象としたときに、こうした負の腫瘍効果がより顕著に示され、同時に癌病態の進行度との正の相関、および予後因子につながる可能性についての検討を現在施行中である。
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