2004 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌患者の末梢血単核細胞におけるTCR-ζ発現度及びアポトーシス
Project/Area Number |
14571639
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
齊藤 孝夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00235045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 謙介 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70338862)
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Keywords | 頭頸部癌 / Apoptosis / TCR-ζ / Fas-R / sFas-L / TUNEL法 / TIL |
Research Abstract |
頭頸部癌患者においては、しばしば免疫反応の低下が指摘されており、この背景因子として末梢血リンパ球や腫瘍浸潤リンパ球(TIL ; Tumor infiltrating lymphocyte)におけるT細胞受容体関連シグナル伝達分子の変化が報告されてきた。 我々は、定量的Flow cytometryにより、頭頸部癌患者の末梢血中のNK細胞(natural killer cell)と同様にCD8^+T細胞やCD^4+T細胞におけるT細胞受容体ζ鎖(TCR-ζ:T cell receptor ζ chain)の発現度が、健常群と比較して減少していることを示した。また、TUNEL法(terminal deoxynucleotidyl transferase-mediated dUTP nick end labeling)によるlate-phaseのspontaneous apoptosis定量では、CD3^+T細胞のみならずCD19^+B細胞においても健常群と比較して高値を示す傾向が認められた。他方、末梢血単核細胞(PBMC : peripheral blood mononuclear cell)表面のdeath receptorの1つであるFas-Rに関しては、頭頸部癌患者において過剰に発現している傾向があることから、頭頸部癌患者のPBMCのapoptosisのメカニズムとして、T細胞受容体経路と関連せずにFas-Rを介したFas-Lによって誘導された細胞死の可能性も推測された。Fas-Rを介したT細胞シグナル伝達によりCaspaseが活性化され、CD3^+T細胞にapoptosisを誘導するだけではなくTCR-ζが切断されることからも、Fas^+CD3^+細胞集団においては、よりTCR-ζの発現度が低くかつapoptosisが誘導されやすいと考えられ、今後の課題としは、血中のsFas-Lの関与の有無を検討したい。
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