2003 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫機序による緑内障 視神経障害の分子機構の解明とその臨床応用
Project/Area Number |
14571653
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大黒 幾代 弘前大学, 医学部, 講師 (90305235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間宮 和久 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (60344610)
大黒 浩 弘前大学, 医学部, 助教授 (30203748)
中澤 満 弘前大学, 医学部, 教授 (80180272)
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Keywords | 緑内障 / 神経保護 / アポトーシス / ニューロン特異エノラーゼ / 自己抗体 |
Research Abstract |
研究の背景および目的 緑内障は成人の失明原因の主要な原因のひとつであるが未だその分子病態は完全には解明されていない。最近の研究によれば緑内障の病因として網膜神経節細胞のアポトーシスが関与することが知られている。この網膜神経節細胞のアポトーシスを引き起こす機序として神経栄養因子の枯渇、虚血、硝子体中のグルタミン酸濃度の上昇および、自己免疫等の関与が示唆されているが、その詳細は明らかでない。従ってこの網膜神経節細胞のアポトーシスを引き起こす分子機構を明らかにすることによりアポトーシスを抑制し、網膜神経節細胞を保護しようとするいわゆるニューロプロテクションが緑内障における視神経障害の進行を防ぐ有効な治療法である可能性が示唆されている。 最近申請者らの研究グループは、緑内障患者について血清学的検査を行ったところ、約20%に網膜神経節細胞由来のニューロン特異エノラーゼに対する自己抗体を有することを明らかとした。 今回は、先に我々が見いだした研究成果である緑内障患者における血清網膜神経節細胞自己抗体の臨床的意義をさらに詳しく検討し、将来的にこれを臨床診療に生かすことを目的とし以下の2つの研究課題について検討した。 I:血清網膜神経節細胞自己抗体(抗エノラーゼ抗体)と緑内障性視神経障害(網膜神経節細胞のアポトーシス)との係わりを分子レベルでの解明。 I-1)抗エノラーゼ抗体をラットの硝子体中に投与により網膜神経節細胞死の分子機序を検討するために2次元電気泳動によるたんぱく質解析とマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイルを検討した。 I-2)血清自己網膜神経節細胞抗体が網膜神経節細胞にどのように作用するかを培養細胞を用いた実験系で検討した。 II)一般臨床で緑内障患者における抗エノラーゼ抗体のスクリーニング法の確立 抗原部位を含むペプチドを用いてそれらに対するモノクロナール抗体を作成し、より簡便に緑内障患者の血清自己網膜神経節細胞抗体のスクリーニングが行えるようなsandwitch ELISA法を樹立中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ohguro H, Ohguro I, Mamiya K, Maeda T, Nakazawa M: "Prolonged survival of the phosphorylated form of rhodopsin during dark adaptation of Royal College Surgeons rat"FEBS Lett.. 551. 128-132 (2003)
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[Publications] Sato M, Ohguro H, Ohguro I, et al.: "Study of pharmacological effects of nilvadipine on RCS rat retinal degeneration by microarray analysis"Biochem Biophys Res commun. 306. 826-831 (2003)
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[Publications] Miyagawa Y, Ohguro H, Odagiri H, Maruyama I, et al.: "Aberrantly expressed recoverin is functionally associated with G-protein-coupled receptor kinases in cancer cell lines"Biochem Biophys Res Commun. 300. 669-673 (2003)
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[Publications] Ohguro H, Maruyama I, Nakazawa M, Oohira A: "Presence of anti-recoverin antibody within aqueous humor in patient with cancer-associated retinopathy"Am J Ophthalmol. 134. 605-607 (2003)
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[Publications] Takano Y, Ohguro H, Ohguro I, et al.: "Low expression of rhodopsin kinase in pineal gland in Royal College Surgeons rat"Cur Eye Res. 27. 95-102 (2003)
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[Publications] Ohguro H, Tamura M, Kamata Y, Ohguro I, Nakazawa M: "A case of conjunctival malignant melanoma effectively treated by tumor resection and cryotherapy in a 14-year-old boy"Hirosaki Med.J.. 55. 23-28 (2003)