2002 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障性視神経障害の機能的障害と組織学的障害との関連の解明
Project/Area Number |
14571658
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 剛司 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (30172191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 寛 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60332615)
国松 志保 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80301563)
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Keywords | 緑内障 / 視神経乳頭 / 画像解析 / 走査レーザー検眼鏡 |
Research Abstract |
体重3Kg以上の雄性カニクイザル11頭を用い、ケタミン麻酔下にて、それぞれの個体の両眼眼圧、角膜曲率半径測定およびステレオ眼底撮影を行い、さらに視神経乳頭の三次元的変化をレーザー走査検眼鏡(ハイデルベルグレチナトモグラフ、ハイデルベルグエンジニアリング社製、ドイツ)にて立体測定した。ついで、左眼に対しレーザー隅角照射法により、実験的に高眼圧モデルを作成し、上記の計測を1、3、4、5、6、8、10、12、14、16週に行い、視神経乳頭陥凹形態の変化を観察した。最終観察後に、全身麻酔下にて組織固定液の静脈内投与による灌流固定にて屠殺し、眼球を摘出後、組織検索を行った。全ての実験は、米国視覚と眼科研究会議(ARVO)で定められた実験動物取り扱い規約にのっとって施行された。 レーザー隅角照射後、眼圧は実験終了まで、平均30ミリメーター水銀柱まで常時上昇した。この眼圧は、コントロールとし、た右眼に比し全ての期間において有意に高い値であった。立体計測では、視神経乳頭面積を除いたすべてパラメーター(乳頭陥凹面積および体積、乳頭辺縁面積および体積、陥凹深度、陥凹傾斜度)は経時的に悪化していった。しかし、その変化は眼圧上昇後4週までに急速にピークに達し、その後は比較的ゆるやかに変化した。また、組織標本より計測した網膜神経線維層厚は、立体計測による乳頭パラメーター値と有意な相関を示した(P<0.0002)。 これらのことから、高眼圧による視神経乳頭陥凹の緑内障性変化は、猿眼においては眼圧上昇後4週という短い期間で速やかに成立することが確認された。
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