2002 Fiscal Year Annual Research Report
モノビジョンにおける視機能の解明(眼優位性の生理学的検討及び定量的評価法の確立)
Project/Area Number |
14571686
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
新井田 孝裕 国際医療福祉大学, 保健学部, 教授 (30222730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 純子 国際医療福祉大学, 保健学部, 助手 (60327442)
原 直人 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (30265699)
向野 和雄 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (60050473)
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Keywords | モノビジョン / 眼優位性 / 視野闘争 / ボケ抑制 / 視覚誘発脳電位 / コントラスト / 半側視野刺激 |
Research Abstract |
1)両眼白内障手術時に人工レンズによるモノビジョン法を施行した症例の20%で術後に眼精疲労や違和感,見えにくさ等の訴えがあり,現在その要因分析を進めている.その結果,強い眼優位性による一眼のボケ抑制の不良,左右眼の不適切な屈折差,術前からの両眼視機能不良や上下斜視の存在が明らかとなり,日本眼科学会総会にて発表する.2)眼優位性の基礎データの収集に関しては大型弱視鏡用に自作した白黒斜縞の視野闘争図形(刺激領域は中心2度,2〜5度,5〜8度の3種類で縞幅は視角10分)を用いて検討した.視野闘争は中心2度刺激で最も誘発され,sensory dominance(知覚優位性)の強さの指標である一眼のみの視認時間も最も長く,さらにhole in cardに代表されるsighting dominance(運動優位性)との弱い相関もみられた.次年度からは網膜偏心度による解像度の違いを考慮した縞幅と半側視野刺激を用いて,鼻側・耳側視野での反応の相違を検討する予定である.3)視覚誘発脳電位(VECP)を用いた視野闘争の電気生理学的検討はハーフミラーを内蔵した両眼分離装置を含めて刺激・記録系の設定はほぼ完了し,現在本実験に取りかかっている.眼優位性の弱い被検者では視野闘争時に振幅の増大傾向を認めることが判明したが,空間周波数・コントラスト・順応・網膜照度等の条件の違いにより影響を強く受けるため,今後慎重に検討を重ねる予定である.成果の一部は6月の日本斜視弱視学会総会で発表する.3)眼優位性の強さの定量化を目的として,現在パソコンを用いて視野闘争図形の一眼の刺激コントラストのみを徐々に低下させ,左右眼で均等に視認できる閾値を求める方法を開発中である.正確な定量化により術前にモノビジョン法の適応を厳密に決定できることが期待される.成果の一部は今年度のARVOにて発表予定である.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 森郁子, 半田知也, 新井田孝裕: "加齢に伴う角膜乱視の推移における外眼筋の影響"あたらしい眼科. 19・10. 1345-1347 (2002)
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[Publications] Handa T, Mukuno K, Niida T et al.: "Diurnal variation of human corneal curvature in young adults"J Refractive Surgery. 18. 58-62 (2002)
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[Publications] 堀部円, 新井田孝裕 他: "視野闘争の時間的定量と刺激領域による影響"日本弱視斜視学会報. 39・1. 56 (2002)
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[Publications] 嶺井利沙子, 清水公也, 新井田孝裕, 新田任里江 他: "眼内レンズによるモノビジョン法の視機能評価"日本眼科手術学会誌. 16(臨増). 71 (2003)
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[Publications] 中川里絵, 石川均, 清水公也, 向野和雄: "初期老視における瞳孔の役割-老視の克服をめざして-"神奈川医学会雑誌. 29・1. 27-28 (2002)
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[Publications] 新井田 孝裕: "電気生理学的検査,眼科診療プラクティス86巻"文光堂. 11 (2002)