2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨系細胞のサーカディアンリズム発現機構の分子生物学的解析
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14571758
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
篠田 壽 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80014025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣谷 拓章 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90312595)
竹山 禎章 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00333823)
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Keywords | サーカディアンリズム / 骨吸収 / 骨形成 / エナメル芽細胞 / アメロゲニン / 破骨細胞 / 時計遺伝子 / ラット |
Research Abstract |
平成15年度において得られた研究成果 (1)骨代謝サーカディアンリズムの時間構造の決定 ラットを用いた実験から、ピリジノリンや酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性などの骨吸収マーカーの値は明期に高く、またアルカリホスファターゼ活性やオステオカルシンなどの骨形成マーカーも同じ時期に高いことから、骨の代謝回転はこの動物の睡眠期に高いことが明らかになった。 (2)骨吸収抑制薬ビスホスホネートが、骨代謝系のサーカディアンリズムに与える影響 エチドロネートを10日間ラットに投与し、骨代謝系のサーカディアンリズムに与える効果を観察したところ、骨形成系マーカーのサーカディアンリズムのパターンには影響を与えることなく、骨吸収系マーカーのサーカディアンリズムの振幅を減少させた。また、その効果は、ラットの睡眠期において最も顕著であった。 (3)エナメル芽細胞の基質合成・分泌活性のサーカデイアンリズム時間構造の決定 エナメル質基質(アメロゲニン)の主要な構成アミノ酸の一つである^3H-プロリンを一日の様々な時間にラットに投与し、一定時間(1時間)内にエナメル芽細胞に取りこまれる量と、質基質中に分泌される量をオートラジオグラフィーによって観察した。その結果、エナメル芽細胞の基質合成・分泌活性は、この動物の睡眠期において最も高く、活動期に最低となるサーカディアンリズムを示すことが明らかとなった。また、エナメル器に発現するアメロゲニンmRNAの発現にも睡眠期において最も高く、活動期に最低となるサーカディアンリズムが見られた。さらに、エナメル器中には、PerやBmalなどの時計遺伝子の日周期性の発現が観察された。 (4)破骨細胞形成のサーカディアンリズム 一日の様々な時間帯に採取した血清を破骨細胞形成系(RANKLとM-CSF存在下での、骨髄細胞からの破骨細胞の形成)に添加した(15%の割合で血清を培養液中に添加)。形成される破骨細胞の数は血清の採取時刻に大きく依存し、破骨細胞の形成のサーカディアンリズムに何らかの液性因子が重要な役割を果していることが示された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Shao P, Ohtsuka-Isoya M, Shinoda H: "Circadian rhythm in serum bone markers and their relations to the effect of etidronate in rats"Chronobiology International. 20(2). 325-336 (2003)
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[Publications] Shao P, 磯谷美重, 竹山禎章, 厳冬, 篠田 壽: "ラットエナメル芽細胞における基質合成・分泌活性のサーカディアンリズム"歯科基礎医学会雑誌. 45(5). 88 (2003)
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[Publications] 和田信行, 竹山禎章, 越後成志, 篠田 壽: "骨吸収の日内変動に及ぼすビスホスホネート(リセドロネート)の効果"歯科基礎医学会雑誌. 45(5). 97 (2003)
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[Publications] 厳冬, 竹山禎章, Shao P, 越後成志, 篠田 壽: "異なる時間帯に採取した血清の破骨細胞誘導能に見られる日内変動"歯科基礎医学会雑誌. 45(5). 134 (2003)