2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14571759
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
織田 公光 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10122681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 将広 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40313522)
天谷 吉宏 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50193032)
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Keywords | 低ホスファターゼ症 / 遺伝子疾患 / アルカリホスファターゼ / 石灰化 / 先天性代謝異常 / ユビキチン / プロテアソーム / 分解 |
Research Abstract |
低ホスファターゼ症患者で報告された組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)の変異2例について細胞生物学的な解析を行い、遺伝子の変異が本タンパク質の生合成、活性に与える影響を検討した. 特に変異酵素の細胞内の分解過程に注目した. (1)ミスセンス変異:TNSALP(D289V) 289番目のアミノ酸のアスパラギン酸はTNSALPのカルシウム結合に関与することが推測されていた.TNSALP(D289V)は哺乳類細胞に発現させても全く活性を示さず、ホモ型の患者では血中のアルカリホスファターゼ活性が著しく低下しているという報告と一致した.詳細な生合成の解析により、TNSALP(D289V)は翻訳後にジスルフィド結合を介して高分子量の凝集物を生じるために、その細胞内輸送が著明に阻害された結果本来の局在部位である細胞膜表面に到達できないことが判明した.さらに、行き場を失った変異酵素はプロテアソームによって分解されることが特異的な阻害剤の影響から推定された.また、プロテアソームの阻害剤の存在下に、ポリユビキチン化されたTNSALP(D289V)の蓄積を認め、変異酵素が小胞体品質管理機構の働きで小胞体から細胞質へと輸送されるとともにユビキチン化を受け、それがプロテアソームの基質になると考えられた. (2)ミスセンス変異:TNSALP(E218G) 218番目のグルタミン酸も上記の289番目のそれと同じくカルシウムの配位に直接に関係していると考えられている.解析の結果、本変異酵素はTNSALP(D289V)と非常に似ておりユビキチン化後に最終的にプロテアソームで分解される結果を得た. 以上の事例より、TNSALPの適正な3次構造の形成と2量体化にカルシウムの結合が必須であることが明らかとなった.また、変異酵素の分解に際してユビキチン化が起こることを初めて示した.
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[Publications] Amizuka, N.et al.: "Biological action of parathyroid hormone(PTH)-related peptide(PTHrP) mediated either by the PTH/PTHrP receptor or the nucleolar translocation"Anat. Sci. Int.. 77. 225-236 (2002)
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[Publications] Ito, M.et al.: "Jaw bone remodeling at the invention front of gingival squamous cell carcinomas"J. Oral Path. Med.. 32. 10-17 (2003)