2003 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞の多核化・活性化におけるアネキシンファミリーの機能解析
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14571765
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
坂井 詠子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教務職員 (10176612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 光枝 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20274665)
岡元 邦彰 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (10311846)
加藤 有三 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20014128)
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Keywords | 破骨細胞 / アネキシン / RANKL / M-CSF / TRAP / 脂質ラフト |
Research Abstract |
近年、アネキシンファミリータンパクが分泌小胞のみならず、細胞膜上の脂質ラフトにも存在していることが報告された。脂質ラフトとはコレステロールやスフィンゴ糖脂質から構成されている細胞膜上に存在するミクロドメインであり、多くの受容体やシグナル伝達に関わる分子がそこに集中して存在することが知られている。そこで我々は破骨細胞においても、アネキシンが脂質ラフトに存在しているのかを明らかにした。マウス骨髄細胞をSephadex G-10カラムに通してストローマ細胞を除いた培養系に、M-CSF+RANKLを添加して多核の破骨細胞を形成させた。1% TritonX-100で細胞を可溶化し、ショ糖密度勾配遠心法で分画を行った後、SDS-PAGE、Western blottingをおこなった。アネキシン2と4はTriton不溶性の軽い画分(脂質ラフト)には存在せず、成熟破骨細胞においてはラフト以外の画分に局在していた。同じ画分にはM-CSFの受容体であるc-Fmsやintegrin alpha vなどの存在が認められた。一方、RANKやそれを介するシグナル分子であるTRAF2や6、c-Srcなどは脂質ラフトに局在していた。スフィンゴ糖脂質の合成阻害薬D-PDMPを添加すると、RANKやc-Srcはラフトに局在できなくなり、それに伴い破骨細胞形成が顕著に抑制されたのに対し、ラフトに局在しないc-Fmsやアネキシンの局在には変化は認められなかった。そとからスフィンゴ糖脂質を細胞培養に加えると、RANKやc-Srcはラフトに局在するようになり、それに伴い破骨細胞形成も回復するが、これらは脂質ラフトの形成が回復したためと思われる。成熟破骨細胞において特にRANKL/RANKを介したシグナル伝達は細胞膜上のラフトと呼ばれるミクロドメインで行われていることが今回の研究で明らかになったが、アネキシンは脂質ラフト以外のところに局在して何らかの機能を果たしていることが示唆された。
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