2003 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺細胞のイオン輸送と水分泌の調節におけるカルシウムウェーブの生理的役割
Project/Area Number |
14571770
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
谷村 明彦 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (70217149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根津 顕弘 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (00305913)
森田 貴雄 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (20326549)
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Keywords | 唾液腺 / カルシウム / IP_3 / 多光子レーザー顕微鏡 / フォトブリーチング |
Research Abstract |
唾液は安静時でも常に分泌されており、摂食刺激などによって分泌量が増加する。従って、生理的な条件では、唾液腺は常に刺激されており、その強弱によって分泌量が調節されていると考えられる。その分泌調節におけるカルシウム・シグナルの役割を明らかにするために、刺激の変化に伴うカルシウム反応のパターンを解析した。 ムスカリン受容体刺激の段階的増加に伴うカルシウム反応 耳下腺細胞のムスカリン受容体を刺激すると腺腔側から基底側へ広がるカルシウム・ウェーブが起こる。同様のカルシウム・ウェーブが、ムスカリン受容体刺激を段階的に増加させた場合にも観察された。この結果から、以下のことが推察された。1)唾液腺のカルシウム・ストアの腺腔側,と基底側は連続している。2)唾液腺のカルシウム・ストアには、弱いアゴニスト刺激では枯渇しない機構がある。 カルシウム・ストアの可視化とその連続性の解析 Mag-fura-2を取り込ませた耳下腺細胞をサポニンで穿孔し、IP_3によって蛍光が変化するオルガネラ(カルシウム・ストア)を多光子レーザー顕微鏡で可視化した。さらに、ストアの腺腔側にレーザーを照射し、フォトブリーチングアッセイを行った。その結果、腺腔側と基底側のストアが連続していることが確認された。 ストア内カルシウム濃度によるIP3受容体の調節 Mag-fura-2を取り込ませた耳下腺細胞をサポニンで穿孔し、ストアにおけるカルシウム放出およびカルシウムの取り込みに対する低濃度(0.3uM)のIP_3の作用を解析した。その結果、ストア内カルシウム濃度の低下によって、IP_3受容体のチャネル活性が抑制されことが示めされた。 耳下腺腺房細胞ではカルシウム・ストアの連続性とストア内カルシウムによるIP_3受容体の調節作用によって、腺腔側から全体に広がるカルシウム反応のパターンが維持されていることが明らかになった。
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