2002 Fiscal Year Annual Research Report
開口筋運動ニューロンと閉口筋運動ニューロンの相違性
Project/Area Number |
14571777
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 芳雄 昭和大学, 歯学部, 講師 (10220237)
大幡 久之 昭和大学, 薬学部, 助教授 (00119166)
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Keywords | 三叉神経 / 運動ニューロン / スパイク後過分極電位 / パッチクランプ / 拮抗筋 |
Research Abstract |
【研究目的・方法】 摂食時の閉口筋の活動は、食物の物理的性状によって大きく変化する。一方、開口筋の活動は食物の性状の違いによらず比較的一定であり、閉口筋と開ロ筋は機能的に異なっている。このような閉口筋と開口筋の活動性の相違は、一つには咀嚼のパターンを形成する中枢神経回路(パターンジェネレータ)が形成する運動指令が、閉口筋に対するものと開口筋に対するもので異なるためと考えられるが、この運動指令を運動神経活動に変換する閉口筋運動ニューロンと開口筋運動ニューロンのレベルでも、両筋の機能的差異に対応してその変換特性が異なっている可能性がある。そこで本研究は、蛍光物質で標識された閉口筋運動ニューロンあるいは開口筋運動ニューロンを含む脳幹スライス標本にパッチクランプ法を適用して、両運動ニューロンの膜電位および膜電流を記録し、さらに記録したニューロンの形態を2光子共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察し、両運動ニューロンの生理学的特性および形態学的特性の違いを明らかにすることを目指すものである。平成14年度は、以下のことが明らかとなった。なお補助金は、マイクロスライサーの購入、成果発表の旅費、薬品代などの消耗品代に使用した。 【研究成果】 1.咬筋運動ニューロンは顎二腹筋運動ニューロンに比べて以下の点で異なっていた。 (1)入力抵抗および膜の時定数が小さい (2)スパイク後過分極電位の振幅、持続時間、スパイク後過分極電流のdecay time constantが小さい。 (3)単位脱分極あたりのスパイク発射頻度上昇の割合が高い。 2.咬筋運動ニューロンの中で、小さな細胞体と単純な形状の樹状突起を持ち、入力抵抗が高く、スパイク発射パタンの異なるニューロンが存在した。
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[Publications] Inoue, T.: "Excitatory effects of noradrenaline on trigeminal motoneurons in rats"Dent. Jpn.. 38. 33-35 (2002)
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[Publications] Masuda, Y.: "Influence of oro-facial sensory input on the output of the cortical masticatory area in the anestheitzed rabbit"Exp. Brain Res.. 146. 501-510 (2002)
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[Publications] Inoue, T.: "Involvement of 5-HT_7 receptors in serotonergic effects on spike afterpotentials in presumed jaw-closing motoneurons of rats"Brain Res.. 954. 202-211 (2002)
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[Publications] 斉藤茂: "感圧型咬合シートによる歯の疼痛の簡便な判定法-マルチブラケット装置装着に伴う痛みとレーザー照射による除痛効果-"Orthd Waves. 61. 31-39 (2002)