2003 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光バイオイメージング法による炎症性滑膜組織内のエストロゲンレセプター動態解析
Project/Area Number |
14571796
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
末永 重明 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00136889)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬童 寛子 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00301391)
富田 和男 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60347094)
川床 正剛 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40343363)
川畑 義裕 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70274842)
馬嶋 秀行 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60165701)
|
Keywords | エストロゲンレセプター / エストロゲン / 慢性関節リウマチ / 活性酸素 / NO / 過酸化脂質 / アポトーシス / NOS mRNA |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)患者の滑膜細胞内におけるエストロゲンレセプターの発現量を定量的に評価し、また細胞内の活性酸素(ROS)産生、NO産生、過酸化脂質反応およびアポトーシスに対するエストロゲンの効果を検討した。 実験には、RA患者の膝関節から摘出した新鮮滑膜組織9症例を用い、蛍光免疫組織染色およびウェスタンブロット法にてエストロゲンレセプターαの発現の多い2症例ならびに発現の少ない2症例を選択した。コントロール群としてPWS-Y、MCF-7細胞を用いた。これらの滑膜細胞にエストロゲンによる処理を行い、サイトカイン(IL-1β,IFN-γ,TNF-α)刺激ならびに無刺激下で培養した。細胞内のROS産生はHPF試薬を用い、NO産生はDAF蛍光試薬を用いてレーザー顕微鏡(波長488nm)下で観察を行った。過酸化脂質はモノクロナール抗体によるHNE染色法にて、またアポトーシスはHoechst 33342染色法にて検出した。3個以上の核断片化がみられたらアポトーシスと判定した。NOS mRNAの発現量は、定量PCR法で解析を行った。 エストロゲンレセプター発現の多い滑膜細胞では、エストロゲン処理とサイトカイン刺激により、ROS産生、NO産生および過酸化脂質の発現は有意に抑制され(p<0.01)またアポトーシスの割合も有意に減少した(p<0.05)。定量PCR法の解析結果から、NO産生が抑制されたのは、iNOS mRNA発現が抑制されたためであることが確認された。エストロゲンレセプター発現の少ない滑膜細胞では、エストロゲン効果は本質的に認められなかった。結果的、エストロゲンはROSやNO産生および過酸化脂質の発現を抑制することにより、細胞死に対する予防効果に重要な役割を果たしていることが示唆された。
|