2002 Fiscal Year Annual Research Report
唾液分泌を抑制する薬物に関する研究(唾液腺細胞内情報伝達系に対する作用)
Project/Area Number |
14571800
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
澤木 康平 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (50178828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 充 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20096473)
大久保 みぎわ 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (40301519)
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Keywords | 唾液分泌 / 耳下腺腺房細胞 / 細胞内情報伝達系 / 細胞内カルシウム / ジアゼパム / ムルカリン受容体 / アドレナリン受容体 |
Research Abstract |
[目的] 抗不安薬であるDiazepam (DZP)が、唾液分泌機構において重要な役割を果たしているイノシトールリン脂質代謝系に影響を及ぼし、Inositol 1,4,5-trisphosphate (IP_3)産生を抑制することを以前に明らかにした。この抑制作用がDZPによる唾液分泌抑制と関連していると考えられる。今回はIP_3産生と連関している細胞内カルシウム濃度([Ca^<2+>]i)に対するDZPの影響を調べ、唾液分泌抑制機構をさらに検索した。 [方法] 体重220g前後のWistar系雄性ラットから耳下腺を摘出し、酵素処理により腺房細胞を調製した。この耳下腺腺房細胞を無蛍光ガラス板上に播種した後、細胞内Ca^<2+>測定用の蛍光指示薬であるFura-2/AMを細胞に負荷し、実験に供した。[Ca^<2+>]iは、ARGUS 50にて測定した。 [成績] DZP(10^<-5>M)は、Carbachol(10^<-4>M)刺激によるラット耳下腺[Ca^<2+>]iの増加を減少させた。このDZPによる減少は、細胞外液にCa^<2+>(1.27mM)が存在、非存在(3mM EGTA添加)下のいずれにおいても観察された。[Ca^<2+>]iの減少率(28〜33%)は、IP_3産生の減少率(約35%)とほぼ同じであった。DZPは、同様にPhenylephrine(10^<-4>M)刺激による耳下腺[Ca^<2+>]iの増加を減少させた。しかし、DZPはThapsigargin(10^<-5>M)刺激による耳下腺[Ca^<2+>]iの増加を減少させることはできなかった。 [結論] DZPは、耳下腺細胞内のおいてm_3-ムスカリン受容体、α-1-アドレナリン受容体刺激によって産生されるIP_3と連関した[Ca^<2+>]iの増加を抑制する。この細胞内のIP_3産生と[Ca^<2+>]iの減少が、DZPによる唾液分泌抑制と密接に関連していることがさらに確認された。
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[Publications] Masao Kujirai, Kohei Sawaki, Mitsuru Kawaguchi: "Inhibitory effect of diazepam on muscarinic receptor-stimulated inositol 1,4,5-trisphosphate production in rat parotid acinar cells"British Journal of Pharmacology. 137. 945-952 (2002)