2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14571812
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 美加子 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40271027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木ノ本 喜史 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (10252694)
今里 聡 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (80243244)
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Keywords | 垂直性歯根破折 / 再植法 / 接着性レジンセメント / 推定生存率 / Kaplan-Meier法 / 根面処理 / EDTA / スメア層 |
Research Abstract |
本年度は、垂直性歯根破折歯に対する接着再建・再植法の有用性について長期臨床評価を行った。また、接着性レジンセメントによる破折歯根の堅固な接着再建のために、適切な根管象牙質の処理方法を検討した。 大阪大学歯学部附属病院において、接着再建・再植術を受けることに同意した33〜73歳の患者26名に発生した垂直性歯根破折26歯に対して接着再建・再植法を実施し、術後4ヶ月から76か月(成功例の平均観察期間41か月)の予後成績を、臨床診査とエックス線診査により評価した。接着再建・再植法を施した垂直性歯根破折歯の推定生存率を、Kaplan-Meier法にて統計学的に算出した結果、1年生存率は89%、3年生存率は69%,5年生存率は59%であることがわかった。また、8症例に認められた失敗はすべて臼歯に発生しており、最も代表的な失敗原因は、再破折および術前より存在した歯周ポケットからの感染に由来する歯肉の急性炎症の再発であった。従って、垂直性歯根破折歯の接着再建・再植法の安定した長期予後のためには、堅固な接着の確立と歯周組織の積極的な再生を促すことが重要であることがわかった。 被折歯根を接着性レジンセメントにて堅固に接着するためには、破折面および根管象牙質を接着に適した状態に処理することが不可欠である。本研究では、根管洗浄剤としての15%EDTA、5%NaOClおよび37%リン酸水溶液、さらに超音波洗浄処理による根管象牙質の洗浄効果を走査電子顕微鏡にて観察した。その結果、15%EDTAによる2分間の超音波洗浄とそれに続く5%NaOClの洗浄が、象牙細管が過度に開口しすぎずスメア層が効果的に除去できる有効な根管象牙質処理法であることが明らかとなった。 以上のように、本年度の結果より、接着再建・再植法は、特に前歯の垂直性歯根破折歯を長期的に保存できる可能性がある治療方法であることがわかった。また、接着性レジンセメントと根管象牙質との確実な接着を確立するために、適切な根面処理が必要であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hayashi M. et al.: "MTA for obturation of mandibular central incisors with open apices"Journal of Endodontics. (印刷中). (2003)
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[Publications] Hayashi M. et al.: "Systematic review of ceramic inlays"Clinical Oral Investigations. (印刷中). (2003)