2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体構成アミノ酸を骨格にもつモノマーの象牙質接着への応用とそのメカニズムの解析
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14571813
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鳥井 康弘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (10188831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 一臣 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30050058)
糸田 俊之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60294419)
伊東 孝介 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50294418)
吉山 昌宏 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10201071)
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Keywords | 象牙質 / 接着強さ / コンポジットレジン / アミノ酸誘導体 / 分子構造 |
Research Abstract |
本年度は、2つのカルボキシル基を有し主鎖の構造は同じで側鎖の構造のみ異なる2種のアミノ酸誘導体モノマー,N-acryloyl aspartic acid(AAsp)およびN-acryloyl Glutamic acid(AGlu)を合成し,その水溶液をセルフエッチングプライマーとして象牙質に作用させ,これらのモノマーの分子構造と歯質接着性との関連について検討した。 合成したアミノ酸誘導体の化学構造はFT-IR,^<13>C-NMRおよびCHN測定で確認した。また,NMRでこれらのモノマー構造中のカルボキシル基の化学シフトを測定し,pH-化学シフト曲線からpKaを求めたところ,両者の主鎖でのpKaは3.67と同じだったが,側鎖カルボキシル基のpKaは異なりAGluではpKa=4.53でAAsp(pKa=4.19)より解離しにくい状態であった。 次に,モノマーを1.1m mol/Lの濃度で蒸留水に溶解して研削牛歯象牙質を処理し,市販ボンディング材を併用して修復用レジンとの接着強さを測定した。また,象牙質を前もってEDTA処理した場合の接着強さも測定した。その結果,研削象牙質への接着強さでは,AGlu処理は効果がなく,AAsp処理はEDTA処理や無処理より有意に高かった。一方,EDTAでスミヤー層除去後にAGlu処理すると無処理,EDTA,AGlu単独処理と比べ有意に高くなり,その値はAAsp処理よりも高かった。 両者のモノマーで研削およびEDTA処理象牙質に対する接着性能の傾向が異なったが,これは研削象牙質ではスミヤー層を除去しなければモノマーが浸透しコラーゲンとの相互作用が発現できないため,酸性度の高いAAspが有利であるが,EDTAでスミヤー層が除去されれば,コラーゲンとの相互作用に寄与する非解離状態のカルボキシル基が存在しやすいAGluが有利となるためと考えられた
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