2002 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによる歯髄培養細胞内SODの動態と免疫応答
Project/Area Number |
14571824
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
武内 ひとみ 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (10130585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 功 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60307874)
河野 雅弘 高知工科大学, 物質・環境システム工学科, 教授 (70333226)
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Keywords | 酸化ストレス / ラジカルELA / SOD / 歯髄培養細胞 |
Research Abstract |
フリーラジカルは、近年細胞内情報伝達シグナルとしての新たな役割が見出され、それに伴って活性酸素を選択的に消去する酵素であるSODの存在とその生理作用が生体恒常性を担う一つの重要な因子として認識されている。本研究では、歯髄炎のメカニズムを解明する目的で、歯髄培養線維芽細胞に酸化ストレスを作用させ、細胞内SODの動態を検討した。酸化ストレスはスーパーオキサイド(O_2^-)を産生するヒポキサンチン-キサンチンオキシデース(HX-HOD)系を用いて細胞に作用させ、細胞内SODの動態を検討した。同時にNitric oxideを産生する酵素であるNitric Oxide Sythase(NOS)の生成をNOS detect kitを用いて分光学的に検討した。HX-XOD系から発生するO_2^-を作用させると、歯髄培養線維芽細胞における細胞内SODは上昇し、ESRスピンとラッピング法において検索したSOD様活性は、2.09unit/lであった。次に、NOS蛋白量を検討した結果、O_2^-を作用させた後に蛋白量の増加を認めた。また、炎症性サイトカインであるIL-1βおよびIL-6の生成量を検討した結果、その生成量は増加した。次に、歯髄培養線維芽細胞内のSOD量をあらかじめ高くした後にLPSを作用させた結果、IL-1βおよびIL-6の生成量は減少した。以上の結果から、酸化ストレスを作用させると細胞内SOD量とNOS量は増加し、同時に炎症性サイトカインであるIL-1βとIL-6も増加した。酸化ストレスに対して細胞は炎症反応を示すことが示唆されたが、細胞内SODの増加に伴ってIL-1βとIL-6はその生成量が抑制されることが示唆された。酸化ストレスによって一度は炎症性サイトカインは上昇を認めるが細胞内SODの量の増加に伴って炎症性サイトカインは抑制され、炎症反応における防御反応が認められた。今後、SODと炎症性サイトカインとの因果関係を詳しく検討する予定である。
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