2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄細胞および骨髄細胞の象牙芽細胞への分化と像牙質再生
Project/Area Number |
14571833
|
Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
好川 正孝 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70148451)
|
Keywords | 骨髄細胞 / 三次元培養 / 象牙芽細胞 / 硬組織形成 / リン酸カルシウム多孔体 |
Research Abstract |
本研究を立案・計画の基本的概念は歯髄細胞および骨髄細胞の象牙芽細胞への分化と象牙質再生であり、ラット骨髄細胞から硬組織形成細胞への分化に倣って、ラット歯髄細胞から硬組織形成能を有する細胞さらに象牙芽細胞への分化をin vitroで行うことである。そのために、14年度はラット骨髄細胞および歯髄細胞を培養し、象牙芽細胞あるいは硬組織形成細胞に分化させる実験系の確立を目指した。 骨髄細胞での硬組織誘導因子としてはデキサメタゾンが既知であり、骨髄細胞を用いての硬組織形成でALP活性測定の結果、有意に高い値を得ており、骨髄細胞による硬組織形成の培養系での手法を確立させることは実現した。しかしながら、歯髄細胞は培養系で生育させることがいまだに不可能であり、歯髄内の未分化間葉系細胞を硬組織形成細胞に分化誘導させて象牙質を再生させた報告がいまだに見られないように、歯髄細胞を培養系で象牙芽細胞あるいは硬組織形成細胞に分化させるシステム確立が困難であることが示唆される結果を得た。他方、歯胚細胞は培養系で生育、増殖が可能で、一部の細胞は硬組織を形成した。細胞のクローニングを行わなかったので、歯胚細胞のクローニングを来年度の課題としたい。 なお、リン酸カルシウムを支持体としての細胞培養の象牙質・歯髄組織複合組織の再生、すなわち、歯の再生についても本研究での目的とし、骨髄細胞を象牙芽細胞に分化させるための三次元培養の担体として多孔質リン酸カルシウム硬化体を用いた実験を行った。その結果、多孔体内部にアルカリフォスファターゼ活性を確認したが、その硬組織形成量は少なく、リン酸カルシウム多孔体の細胞接着性などを改良するための添加因子の再考が必要であることが明らかになった。
|