2002 Fiscal Year Annual Research Report
超短期骨接着を目指したチタンインプラントのバイオミメティック表面改質法
Project/Area Number |
14571847
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
阿部 泰彦 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00253097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 威典 広島大学, 歯学部附属病院, 助手 (20325202)
岡崎 正之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30107073)
赤川 安正 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00127599)
日浅 恭 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60304432)
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Keywords | インプラント / 純チタン / 表面改質 / 細胞接着分子 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
歯科インプラント治療において,機能負荷の前提であるオッセオインテグレーションの成立には約3〜6ヶ月の期間が必要である。現在,この期間の短縮が大きな関心となっており,生体適合性の化学的要因に関連して重要な意味を持っている材料表面の改質が注目されている。インプラント材料として最も広く応用されているチタンは高い生体適合性を有しているものの,一方でその表面に汚染物質が吸着し易いという問題がオッセオインテグレーションの獲得に影響を与えると認識されている。そこで,本研究の目的である細胞接着分子を最適分子構造でチタン表面に安定して化学的に結合させるためには,まず,チタン表面の汚染物質を効果的に除去する必要があると考えられる。 平成14年度は,細胞接着分子を用いた表面改質の前処理として,チタン表面の汚染除去法について検討した。ペルオキソニ硫酸ナトリウム,硫酸および塩酸による酸処理がチタン表面に及ぼす影響をX線光電子分光法(XPS)にて分析し,その結果,すべての酸処理においてチタン表面の汚染除去効果が認められた。中でも,塩酸処理では汚染除去効果は最も大きく,チタン表面からClはほとんど検出されなかった。一方,ペルオキソニ硫酸ナトリウム処理および硫酸処理では,その構成元素の一つであるSが検出された。表面に存在する外来元素は,極微量であっても材料と分子の相互作用や分子の結合様式に影響を及ぼすことが明らかとされていることからも,チタン表面の汚染除去には塩酸処理が最も効果的であることが明らかとなった。
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