Research Abstract |
私達は加齢による咀嚼運動系運動調節のストラテジー変化は運動遂行時の「予測の利用」に深く関係すると考えている.今回,被験者群の(1)神経行動学的能力(今回は,手指手腕の巧緻性・運動協応能力),(2)日常生活に対するQOL,(3)課題遂行時の緊張度と「予測の利用」を関連づけ,加齢による咀嚼運動系運動調節のストラテジーの解析を予定している.本年度は,主に,神経行動学的能力測定,日常生活に対するQOLについて調査を行い,課題遂行時の緊張度については機器の整備を,また,被験者口腔内環境の整備を行っている最中である. 厚生労働省編一般職業適性検査において,高齢有歯顎群(平均年齢74.9歳,4人)の運動協応能力が平均100点(標準偏差20),指先の器用さが48(30),手腕の器用さが44(16)であった.青年有歯顎群(24.9歳,13人)においては,順に106(20),111(23),93(29)であった. WHO QOL26において,高齢有歯顎群で,身体的領域で平均41(標準偏差0.2),心理的領域3.8(0.4),社会的関係3.6(0.3),環境領域3.7(0.5),全体3.6(0.6),全体の平均3.8(0.2)であった.青年有歯顎群では順に3.7(0.5),3.5(0.6),3.6(0.7),3.5(0.4),3.6(0.8),3.6(0.5)であった. 課題遂行時の緊張度に関しては,青年群で,手腕に電極を設置して皮膚電気活動SPA,皮膚コンダクタンスSCC,スキノス発汗計による精神性発汗量を比較した.SPA,SCCは感度・反応性はよさそうなものの被験者の動きによる値の変動が大きい.積分値利用の発汗計は値の変化に幾分遅れはみられるものの患者の動きによる変動はみられなかった.よって当初の予定通り発汗計による精神性発汗量を緊張度の指標とする予定である.
|