2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者歯科治療中の異常高血圧を予測する無侵襲モニターの開発に関する研究
Project/Area Number |
14571882
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大渡 凡人 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80194322)
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Keywords | 高血圧 / 偶発症 / システム同定 / 高齢者 |
Research Abstract |
高齢者の歯科治療で圧倒的に多い偶発事故は予期しない異常高血圧である。異常高血圧は時に危険性の高い不整脈や狭心症発作などを誘発する可能性があるため、その予防は高齢者の安全な歯科治療の実現において極めて有用である。一方、異常高血圧は高齢者に発生しやすいが、その背景として加齢による循環制御系の不安定化が大きな誘因であることが予測される。そこで、システム同定という数学的手法を用いて、これまでブラックボックスであった高齢者の循環制御系応答を明らかにすることにより、高齢者の歯科治療における異常高血圧を予測できる可能性があると考えた。本研究の目的は、高齢者の歯科治療中における異常高血圧を、システム同定により予測する無侵襲モニターを開発することである。 本年度は循環制御系のシステム同定として以下の3つの解析系のソフトウェア的な構築を試みた。すなわち、(1)線形システム同定-1:体位負荷をインパルス入力とし、一心拍毎の血圧測定装置による血圧応答を出力として測定し、循環制御系の状態方程式を推定する。 (2)線形システム同定-2:心拍と血圧間のフィードバック制御について、RR間隔時間と血圧の2変数を2変量自己回帰モデルに当てはめて状態方程式を推定する。 (3)非線形システム同定:一心拍毎の血圧変動の時系列データが、3次までの項を含む非線形自己回帰モデルに従って変動していると仮定し、最小自乗法によりパラメーター推定を行う。 である。 本年度中に行った研究では、得られた状態方程式が同一個人内で極めてばらつきが大きく、安定した結果が得られなかった。治療中の血圧変動を予測するためにはある範囲内で一定の状態方程式が必要である。さらなる設定パラメータと推定方法の見直しを含め、来年度は再検討を行い、可及的に安定した状態方程式を得るための方法論を確立する。また、実際の血圧変動を最も忠実に予測可能な方法を明らかにし、包括的な解析装置の構築を行う予定である。
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