2003 Fiscal Year Annual Research Report
GFP導入口腔癌細胞を用いた分子標的薬による浸潤転移抑制治療の開発
Project/Area Number |
14571906
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
奥村 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (60194510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 俊哉 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40306254)
安彦 善裕 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (90260819)
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Keywords | GFP導入口腔癌細胞 / 浸潤転移機構 / 頸部リンパ節転移 / 高浸潤性癌細胞 / 低浸潤性癌細胞 / 血中循環癌細胞 |
Research Abstract |
目的:口腔扁平上皮癌のin vivo転移実験系を確立し、分子標的薬による治療効果を判定する。 方法:1.in vivo転移実験系の確立:ヒト舌扁平上皮癌細胞株SASから得られた高浸潤性癌細胞SAS-H1と低浸潤性癌細胞SAS-L1について、GFP発現遺伝しベクター(p-EGFP-N1)を電気穿口法で導入し、G418によりGFP高発現細胞を作製した。次にKNSヌードマウスの舌側縁に同所移植し、SAS-H1では、全例で局所浸潤と同時に頸部リンパ節転移が出現することを確認している。2.分子標的薬による治療実験:同所移植後1週経過した時点で、PI3K阻害剤LY294002を1-100mg/kgを毎日3週にわたり腹腔内投与を施行し、移植部の腫瘍径と、頸部転移抑制率をGFP蛍光強度で測定する。同様に、ヒト好中球由来抗菌蛋白質CAP18由来C-末端活性化ドメインペプチドhCAF18_<109-135>を1-100μgを尾静脈および同所移植部に投与し、同様の評価方法を用いた。3.血中循環癌細胞数の検討:同所移植後1週ごとに末梢血を採取し、FACScanで細胞数を計測した。 結果:1.SAS-H1/EGFPN1は、きわめて局所浸潤性が高く、頸部転移が全例に認められたが、一方、SAS-L1/EGFPN1では局所で膨張性発育を示し、頸部転移は30%でみられるのみであった。そこで、主としてSAS-H1/EGFPN1の同所移植群で実験的治療を評価した。2.分子治療薬の効果:LY294002濃度100mg/kgで局所の抗腫瘍効果が認められた。しかし、コントロール群との比較で約40-50%の体重減少がみられた。さらに頸部転移については約80%で転移を抑制しうることが示された。また、hCAP18_<109-135>を投与すると局所の腫瘍縮小やがて消失が確認され、頸部転移についても約70%で転移がみられなかった。3.血中循環癌細胞数の検討:同所移植部の腫瘍径が増大するに従い癌細胞数の増加が確認された。さらに、LY294002とhCAP18_<109-135>をおのおの投与することにより、循環癌細胞数が約50-60%減少していることを確認した。
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Research Products
(1 results)