2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平苔癬の病因解明のための基礎的研究-PIXE法による汚染元素を中心とした病変粘膜微量元素分析-
Project/Area Number |
14571908
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
杉山 芳樹 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (00162909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 修 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (10295991)
世良 耕一郎 岩手医科大学, サイクロトロンセンター, 助教授 (00230855)
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Keywords | 扁平苔癬 / 口腔粘膜 / 微量元素 / 粒子励起X線分光法 |
Research Abstract |
現在、扁平苔癬患者粘膜と対照である健常者口腔粘膜の分析を行っている。汚染元素に注目すれば、今のところ、両者からAl、Ti、Ga、Sr、Zr、Nb、Ag、Sb、Au、Hg、Pbの11種類を検出している。これらの汚染元素のうち、Al、Ti、Pbは検出率が高く、Alは対照群で100%、扁平苔癬群で68.2%の検体にみられた。Tiは対照群で86.0%、扁平苔癬群で86.4%であり、Pbは両群共に100%の検出率であった。この元素を組織濃度でみると、Alは対照群で71.52±64.19μg/gで、扁平苔癬群は66.32±49・69μg/gであり、Tiは対照群で6.11±6.87μg/gで、扁平苔癬群は5.34±2.58μg/g、Pbは対照群5.58±7.10μg/gで扁平苔癬群6.14±5.53μg/gであった。現在の所、検体数が少ないためもあるが、汚染元素では健常粘膜と扁平粘膜の両者に有意な差はみられていない。今後、検体数を増やして、より精度の高い比較を行う予定である。 生体元素は生命維持に必要な必須元素とそれ以外の汚染元素に分類される。現代日本人の体内にはAl、Ti、Pbなどの汚染元素は高頻度に侵入していることが判明した。これらの元素は粘膜病変の病因としても注目されるが、汚染元素の口腔粘膜への進入経路の解析は学術的にも意義があると思われる。今後は、唾液、血清の元素分析を行うことで、汚染元素の経路についても解析してゆく予定である。本年度の結果の一部は第12回日本口腔粘膜学会で発表した。
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