2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児の声と共鳴の発達に関する研究:健常児と口蓋裂児の比較
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14571923
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
磯野 信策 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10168289)
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Keywords | Nasometer8 / 鼻腔共鳴度 / Sona-Speech8 / 健常幼児 / 唇顎口蓋裂幼児 / 開鼻声 / フォルマント / 声の基本周波数 |
Research Abstract |
健常幼児および口蓋形成術後の唇顎口蓋裂幼児を対象として、開鼻声ならびに閉鼻声を指標とした鼻腔共鳴度、声の基本周波数、および、声質を、Nasometer II8およびSona-Speech8を連動させたシステムを用いて計測し、あわせて、聴覚判定による構音検査を実施し、各種の比較を行った。今年度では、健常幼児ではNasometer II8の検査結果から開鼻声度が比較的高値を示す群と低値を示す2群に分類し、3群間で比較検討を行った。 検査方法は以下のように行った。 1.選別検査:『ことばのテスト絵本』から言語理解検査、囁語による聴力検査、構音検査を実施。 2.Nasometer^8による鼻腔共鳴度nasalance検査:独自に開発した音節・文章復唱検査を評価対象とした。 3.Sona-Speech^8による声の検査:上記2との同時測定および母音/e/の持続発声を採集し、声の基本周波数と母音のフォルマント(F1,F2)周波数を測定し、嗄声を示すものではその音響特性の抽出を試みた。 その結果、Nasometer^8による鼻腔共鳴度検査における文章検査の平均nasalanceは、健常低値群では9.8%、高値群では18.5%で、唇顎口蓋裂児では明らかな開鼻声が認められた22名を除いた平均nasalanceは38.5%と、何れの群間でも有意差が認められた。聴覚的に明らかな開鼻声と判定されなくても唇顎口蓋裂児ではnasalanceが高く、また、健常幼児でも方言の影響を受けていると思われる高値な一群がいた。Sona-Speech^8を用いた母音/i/と/e/の周波数測定では、/i/のF2が低く、/e/のF2が高い、すなわち両者の音の違いが明確ではない周波数分布を示すものがおり、これは新潟方言の特徴を示すものであると考えられた。
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