2003 Fiscal Year Annual Research Report
シェーグレン症候群の発症機構とアポトーシス誘導経路との関連性について
Project/Area Number |
14571935
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 恵一 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00178477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 士朗 東北大学, 歯学部附属病院, 講師 (80230069)
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Keywords | シェーグレン症候群 / MRL / lprマウス / アポトーシス / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、自己免疫疾患モデルマウスMRL/lpr(5ヵ月齢)を用いて、シェーグレン症候群の発症機構とミトコンドリア介在性アポトーシス誘導経路との関連性について免疫組織化学的に調べた。MRL/lpr(5カ月齢)マウスから摘出した顎下腺をPLP固定した後、OCTコンパウンドに包埋し、凍結組織切片を作製した。この凍結組織切片に酵素抗体法により免疫組織染色を行い、caspase-3、caspase-9、cytochrome c、Bax、Apaf-1、caspase-8の発現について調べた。その結果、caspase-3、caspase-9、cytochrome c、Bax、Apaf-1、caspase-8が唾液腺の腺房細胞や導管上皮細胞に発現しているのが認められた。また、いずれの場合にも、炎症性浸潤細胞が顕著である導管周囲での発現が強くなっていた。一方、コントロールマウスMRL/+(5ヵ月齢)では、唾液腺組織におけるcaspase-3、caspase-9、cytochrome c、Bax、Apaf-1、caspase-8の発現がMRL/lprに比較して極めて弱く、免疫組織学的に有意ではなかった。 昨年度、唾液腺細胞のアポトーシスの検出にはTUNEL法を用いて行ったが、TUNE法では非特異的な染色が多く見られるとの指摘もあるため、今年度はssDNAの発現を免疫組織化学的手法によって調べ、それによるアポトーシス細胞の検出を試みた。その結果、MRL/1prマウスの唾液腺の導管上皮細胞と腺房細胞にアポトーシス細胞がみられた。 シェーグレン症侯群の唾液腺における組織破壊にはアポトーシスの誘導が関係することが知られており、このアポトーシスを誘導する伝達経路として細胞表層レセプター分子であるFasとそれに結合するFas ligandが関係するFas-Fas ligand経路が関与することが既に示唆されている。 今回の研究で、Fas-Fas ligand経路がブロックされている自己免疫疾患モデルマウスMRL/lprの顎下腺組織の導管上皮細胞と腺房細胞に、caspase-3、caspase-9、cytochrome c、Bax、Apaf-1の発現が認められたことから、Fas-Fas ligand経路とは異なるミトコンドリアが介在するアポトーシス誘導経路が、シェーグレン症候群の唾液腺における組織破壊に関係している可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)