2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学的手法を用いた簡易高感度う蝕リスク診断法の開発
Project/Area Number |
14571954
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 幸江 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (30274476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 善夫 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (80253459)
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Keywords | Streptococcus mutans / 血清型特異多糖抗原 / グルコース側鎖形成 / う蝕 |
Research Abstract |
本年度の研究では、S.mutansの血清型(c、e、f)をPCR反応にて特定するために不可欠と思われる、血清型特異多糖抗原のグルコース側鎖形成に関与するグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子をクローニングすることを目的とした。まず、血清型特異多糖抗原のラムノースポリマー産生能力を賦与された大腸菌を作成し、S.mutans Xc株(血清型c)の染色体DNAクローンバンクで形質転換したところ、血清型c特異多糖抗原を産生できる形質転換株を得ることに成功した。サブクローニングの結果、グルコース側鎖形成に関与している領域を特定することができ、その領域の塩基配列を決定し、存在する3つのopen reading frameをXcにおいて挿入失活したところ、2つの遺伝子(rgpHとrgpI遺伝子)が側鎖形成に関与していることが明らかとなった。これらの遺伝子をさらに詳しく調べたところ、RgpHはグルコシルトランスフェラーゼとして機能しているが、RgpIはRgpHの酵素学的活性を正方向に調節していることがわかった。すでに、グルコース側鎖の転移に関与することが報告されているrgpE遺伝子を加えると、S.mutansにおいてはグルコース1分子を転移するのに3つの遺伝子が必要であることが明らかになった。従来の研究報告では、1分子の糖を転移するには1つの遺伝子で十分であり、S.mutansの血清型特異多糖抗原の生成機構は既知のものとは異なることが示唆された。現在、上記の結果をもとにして、血清型eおよびfにおけるグルコース側鎖の転移に関与する領域のクローニングを行っているところである。
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Research Products
(1 results)