2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学的手法を用いた簡易高感度う蝕リスク診断法の開発
Project/Area Number |
14571954
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 幸江 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (30274476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 善夫 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (80253459)
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Keywords | Streptococcus mutans / 血清型特異多糖抗原 / グルコース側鎖形成領域 / う蝕経験 / PCR / 血清型分布 |
Research Abstract |
本年度の研究では、最初にS.mutans血清型eおよびfにおけるグルコース側鎖の転移に関与する領域のクローニングを試みた。S. mutans Xc株(血清型c)の糖鎖抗原合成遺伝子群の解析結果に基づき設計したプライマーを用いて、S. mutans LM7株(血清型e)およびMT6219株(血清型f)の染色体DNAからラムノースポリマーの合成ならびにグルコース側鎖の転移に関与する遺伝子群をPCRにより増幅した。クローニングしたDNA断片の塩基配列を決定し、血清型間で相同性検索を行った結果、LM7株およびMT6219株には、Xc株とほぼ同一のラムノースポリマー合成に関与する遺伝子群を含むrgpクラスターが存在し、その直下にグルコース側鎖の転移に関与する遺伝子座が見つかった。各血清型の側鎖合成領域にはXc株で5個、LM7株で4個、MT6219株で3個のORFが存在し、これらの領域を異なる血清型間で置き換えたところ、血清型の変化が認められた。さらに、血清型特異配列を選び、合成されるDNA断片が315〜726bpになるようにプライマーを設計して、精製した染色体DNAを鋳型にしてPCRを行った結果、3つの血清型を同定することができた。次に、3歳7ケ月から4歳7ケ月までの幼児198名について、う蝕の歯面別診査の結果とPCRによるS. mutansの血清型分布との関係について調べたところ、198名の幼児のS. mutansの血清型分布はc型が84.8%、e型が13.3%、f型が1.9%であった。血清型分布とdfsとの関係については、単独感染児のdfsは5.58±0.6、混合感染児のdfsは11.27±2.97であり、混合感染児の方が単一感染児に比べて、う蝕経験が有意に高かった。
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Research Products
(1 results)